地震調査研究推進本部地震調査委員会は、9月24日に「会津盆地西縁・東縁断層帯の長期評価の一部改訂」をとりまとめ、公表しました。ここではその概要を紹介します。
なお、会津盆地西縁・東縁断層帯の評価は平成17年2月9日に公表していますが、その後の調査により活動履歴などに関する新たな知見が得られたことから、これを基に評価の見直しを行い、一部改訂版としてとりまとめました。
会津盆地西縁断層帯は、福島県喜多方市から、大沼郡会津美里町(あいづみさとまち)に至る長さ約34kmの断層帯です。ほぼ南北方向に延びており、断層の西側が東側に対して相対的に隆起する逆断層です。
会津盆地東縁断層帯は、福島県耶麻(やま)郡北塩原村から南会津郡下郷町(しもごうまち)に至る長さ約49kmの断層帯です。ほぼ南北方向に延びており、断層の東側が西側に対して相対的に隆起する逆断層です。
会津盆地西縁断層帯及び会津盆地東縁断層帯の過去の活動は次のようであった可能性があります。
(1)会津盆地西縁断層帯
●最新の活動
1611年(慶長16年)の会津地震●平均活動間隔
約7千4百−9千7百年●1回のずれの量
4−5m程度(上下成分)(2)会津盆地東縁断層帯
砺波平野断層帯東部の過去の活動は次のように推定されます。
●最新の活動
約3千年前以後、約2千6百年前以前。●平均活動間隔
約6千3百−9千3百年●平均活動間隔
3千−7千年程度●1回のずれの量
3m程度(上下成分) (1)会津盆地西縁断層帯
全体が1つの区間として活動する場合、マグニチュード(M)7.4程度の地震が発生する可能性があり、その際、断層近傍の地表面では、断層の西側が 東側に対して相対的に4−5m程度高まる段差や撓(たわ)みが生じる可能性があります。本断層帯の最新活動後の経過率及び将来このような地震が発生する長期確率は表1に示すとおりです。
(2)会津盆地東縁断層帯
全体が1つの区間として活動する場合、M7.7程度の地震が発生する可能性があり、その際、断層近傍の地表面では、断層の東側が西側に対して相対 的に3m程度高まる段差や撓(たわ)みが生じる可能性があります。本断層帯の最新活動後の経過率及び将来このような地震が発生する長期確率は表1に示すとおりです。
この度公表した本断層帯の長期評価では、将来発生する地震の規模や可能性について述べています。この評価への理解を深めると共に、地震に対するイメージを持って頂くことを目的に、想定されている地震が発生した場合、どの程度の揺れに見舞われる可能性があるのかについて、計算を行いました。長期評価結果と併せて、防災対策の一助として頂ければ幸いです。
なお、個別地域の被害想定や防災対策の検討を行う場合は、より詳細な地震動の評価を別途行う必要があります。
[解 説]
2枚の図は各断層帯で想定された地震が発生した場合に予測される、震度分布の概要を示しています。
各断層帯が活動した場合には、断層帯周辺の会津盆地で震度6強以上(赤色)や震度6弱(橙色)の大変強い揺れに見舞われる可能性があります。また、福島県・新潟県・山形県南部・栃木県北部の広範囲で震度5弱(黄緑色)以上の揺れとなることが予測されています。
会津盆地西縁断層帯の活動に関しては、会津盆地西部で震度6強以上、会津盆地東部や盆地の西側の山間部、比較的地盤の揺れやすい猪苗代湖の北岸・西岸で震度6弱の揺れが予測されています。会津盆地周辺や米沢盆地、越後平野東部は震度5強(黄色)の揺れに見舞われます。
会津盆地東縁断層帯の活動に関しては、猪苗代湖周辺から会津盆地にかけての地域の他に、下郷(しもごうまち)町 周辺で震度6強以上の揺れが予測されています。震度6弱の揺れは、福島市・郡山市の一部、米沢盆地の中部、栃木県北部の一部にまで及びます。米沢盆地から栃木県北部までの広い範囲や、越後平野東部の一部は震度5強の揺れに見舞われます。
なお、実際の揺れは、個々の地点の地盤条件や断層の破壊の仕方によっては、ここで、予測されたものよりも1〜2ランク程度大きくなる場合があります。特に活断層の近傍などの震度6弱の場所においても、震度6強以上の揺れになることがあります。