気象庁では、地震が発生した場合、これから強い揺れがくることを知らせる緊急地震速報や、地震情報、津波警報等を発表しています。また、東海地 震の前兆現象をとらえた場合には東海地震に関連する情報を発表しています。(図1)
1. 地震・津波監視体制
気象庁は、全国に設置した地震計、震度計及び津波観測施設や、地方公共団体等が設置した震度計や津波観測施設からリアルタイムで送られるデータ
により、24時間体制で地震や津波の監視を行っています。また、大学等関係機関の観測データを一元的に収集しており、整理・分析した結果は、地震調査研究推進本部における地震活動の総合的な評価に役立てられています。
2. 緊急地震速報(地震動警報・予報)
緊急地震速報は、地震発生時に震源に近い観測施設で観測された地震波を解析することにより、地震による強い揺れが到達する直前に、これから揺れ
がくることを知らせる地震動(地震による揺れ)の警報・予報です。緊急地震速報(警報)は、震度5弱以上が予想された場合に震度4以上を予想した
地域に対して発表します。緊急地震速報は、テレビやラジオで放送される他、市町村の防災放送(一部市町村)、携帯電話、民間事業者のサービスを通じ
て、専用の受信用端末、パソコン、施設の館内放送などで伝達されます。また、工場の生産ライン制御、エレベータや列車の自動制御などにも利用され
ています。(図2)3. 津波警報・注意報・津波情報
津波による被害のおそれがある場合には、地震発生後約3分(緊急地震速報を活用できる場合には約2分)で、津波が予想される津波予報区(日本沿
岸を66区分)ごとに津波警報・注意報を速やかに発表します。津波警報が発表されたときは海岸から急いで避難し、津波注意報が発表されたときは海
に近づかないように呼びかけています(表1)。その後、津波の予想到達時刻、予想される津波の高さ等を発表します。実際に津波が観測された場合にはその時刻や高さを発表します。
また、地震発生後、津波による災害が起こるおそれがない場合(0.2m未満の海面変動が予想されたとき、津波注意報解除後も海面変動が継続すると き)には、津波予報として発表します。
4. 地震情報
地震情報の種類は以下のとおりです。●震度速報
震度3以上を観測した地域名(全国を約180に区分)と地震の発生時刻を発表します。●震源に関する情報
震度3以上が観測されてかつ、津波警報・注意報を発表する必要が無い場合において地震の発生場所(震源)と規模(マグニチュード)を発表します。また、津波の心配が無い場合には、その旨を含めて発表します。●震源・震度に関する情報
震源とマグニチュード、震度3以上の地域名と市町村名を発表します。●各地の震度に関する情報
震源とマグニチュード、震度1以上を観測した地点名を発表します。●推計震度分布図
震度5弱以上が観測された場合、各地の震度データを元に1㎞メッシュ毎の震度を推計した推計震度分布図を発表します。5. 東海地震の予知
駿河湾の西岸の地下では、マグニチュード8クラスの巨大地震(東海地震)がいつ発生してもおかしくなく、この地震が発生すると静岡県を中心とした広い範囲で震度6弱以上の強い揺れになると考えられています。東海地震は、これまでの研究や観測体制の構築から唯一予知ができる可能性のある地震です。気象庁は、関係機関の協力を得て、地殻変動や地震活動等を24時間体制で監視し、異常なデータが観測された場合には「東海地震に関連する情報(東海地震観測情報、東海地震注意情報、東海地震予知情報)」でお知らせします。東海地震に関連する情報が発表されたときは、情報に応じて行動して下さい。(表2)
東海地震発生のおそれが高まった場合、気象庁は、学識経験者からなる「地震防災対策強化地域判定会」を開催します。その判定結果を受け、東海地震の発生のおそれがあると認められた場合に、気象庁長官はその旨を内閣総理大臣に報告します。報告を受けた内閣総理大臣は直ちに閣議を開き、「警戒宣言」を発令します。
ただし、必ずしも予知できるとは限りませんので、いつ地震が発生しても対応できるように、日頃からの備えをしておくことが大切です。
(広報誌「地震本部ニュース」平成20年(2008年)10月号)