文部科学省では、平成19年度から「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト」を立ち上げ、切迫性が高く首都圏で発生が予想される大地震に対する研究を推進しています。
ここでは本プロジェク卜の背景及びその概要について4回のシリーズで紹介します。
政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会は、長期評価により、南関東で発生するマグニチユード(M)7程度の地震を今後30年以内に70%の確率で発生すると予測しており、この地震による被害予想もまた甚大であると推定されています。しかし、とうした大地震に対する研究は十分とは言えない状況で、首都圏で発生が予想される直下地震の全体像は明らかになっていません。
このため文部科学省においてはプレート構造調査で地震の姿を明らかにする一方で、建物の耐震構造技術の向上ならびに災害対応体制の確立により被害軽減に資することを目的とする「首都直下地震防災・減災プロジェク卜」がスター卜しました。
平成19年2月にプロジェク卜の公募を開始し、3月の公募の締切りまでに7機関からの企画提案書が提出されました。
文部科学省内の「防災分野の研究開発に関する委員会」に設置した審査作業部会が中心となって書類選考及び面接選考が行われました。最終的に3つの機関が実施機関として採択され、サブプロジェク卜が委託されることとなりました。
「首都直下地震防災・減災特別プロジェク卜」は、以下の3つのサブプロジェクトから構成されています。
実施機関:東京大学地震研究所
研究代表者:平田直
研究代表者:平田直
首都圏での自然地震観測によるプレート構造の推定、地震の震源断層モデル・地下構造モデルの構築により、首都直下地震の詳細を明らかにし、地震の長期予測や強震動予測の精度向上を目的としています(図2)。 |
実施機関:防災科学技術研究所
研究代表者:中島正愛
研究代表者:中島正愛
首都直下地震に対する都市施設の直接被害を軽減し、建物の継続使用性を維持するため、実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)の活用による防災・減災対策の研究開発を行います(図3)。 |
実施機関:京都大学・防災研究所
研究代表者:林 春男
研究代表者:林 春男
首都直下地震時の被災者の生活再建方策を「危機対応能力」、「生活再建能力」および「地域抵抗力・回復力」の観点から研究し、応急対策から復旧・復興対策までを包括的に研究します(図4)。 |
(広報誌「地震本部ニュース」平成20年(2008年)6月号)