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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 活断層長期評価の表記見直し

(広報誌「地震本部ニュース」平成28年(2016年)秋号)

活断層長期評価の表記見直し 地震調査研究推進本部

1.表記見直しの背景

 地震調査研究推進本部(以下、「地震本部」という。)の地震調査委員会では、主要活断層で発生する地震の長期評価、活断層の地域評価の結果を公表しています。平成28年(2016年)熊本地震においては、4月16日に発生したM7.3の最大規模の地震は主に布田川断層帯の布田川区間の活動によると考えられます。この布田川断層帯(布田川区間)について、地震調査委員会では、M7.0程度の地震が今後30年以内に発生する確率をほぼ0%~ 0.9%と評価し、我が国の主な活断層における相対的評価として、「やや高い」と分類していました。しかし、熊本地震の発生後、この評価結果について以下のような指摘を受けました。

  • 防災を担う自治体担当者や一般国民に、正しく危険性を伝えられていない
  • あたかも降水確率を見るかのように、「起こらない確率」が高く見えてしまい、かえって安心情報になっている

 地震本部では、こうした指摘や熊本地震の教訓を踏まえ、一般国民のみなさまに活断層のリスクを正しく理解していただき、最終的には適切な防災・減災行動につながるように、より分かりやすい表記に見直すための検討を行いました。

2.表記見直しの内容

 地震発生確率と地震後経過率(※)とを組み合わせたランク分けを導入し、ランクと色で表記することとしました(図1、図2)。また、見直し前は「表記なし」という分類があり、3タイプの活断層の情報(30年以内の地震発生確率が0.1%未満又は確率が不明、活断層でないと評価)を一律に表記していましたが、活断層のリスクを伝える情報としてはこれら複数タイプを同列に扱わないことが適切であることから、細分化することとしました。このうち、「活断層でないと評価」については、以前に主要活断層と評価されていましたがその後の調査で活断層ではないと評価されたものであり、活断層のリスクを伝える情報としては不要であることから、削除することとしました。

図1 活断層長期評価の表記見直し

図2 表記見直し後の主要活断層の長期評価結果

3.おわりに

 地震調査委員会では、M7未満の地震や主要活断層帯以外の地震によっても被害が生じていることから、ある地域の活断層による地震危険度を検討するために「活断層の地域評価」(https://www.jishin.go.jp/evaluation/long_term_evaluation/regional_evaluation/) を導入しています。(図3)「活断層の地域評価」では、個別の活断層を評価するだけでなく、対象地域に分布する活断層で発生する地震を総合的に評価しています。現在は関東地域、中国地域及び九州地域の地域評価を公表しており、他の地域についても順次公表する予定です。この地域評価では、布田川断層帯を含む九州中部の区域について、30年以内にM6.8以上の地震が発生する確率を18-27%と評価しており、決して低い数字ではありませんでした。活断層について調べる際は、ぜひ、この地域評価も活用してください。
 今後も、地震本部はより分かりやすい情報の発信に努めてまいります。

図3 九州地域の活断層の地域評価

(広報誌「地震本部ニュース」平成28年(2016年)秋号)

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