岩国-五日市断層帯
岩国(いわくに)断層帯は、広島県南西部から山口県南東部に分布する活断層帯です。また、 五日市(いつかいち)断層帯は、 広島県南西部に位置する活断層です。地震本部は、平成28年に平成16年以降に行われた調査研究成果基づいて、岩国断層帯と五日市断層帯を1つの断層帯として、断層帯の諸特性を評価しました。
岩国-五日市断層帯は、広島県大竹市から山口県周南市、広島県廿日市(はつかいち)市を経て、広島安佐北区に至る断層帯です。全体の長さは約78kmで、北東-南西方向に延びる右横ずれ主体の断層帯であり、北西側ないし西側隆起の逆断層成分を伴います。
本断層帯は、構成する活断層の分布形状、活動時期等の特徴に基づき、3つの区間に区分されます。各区間は北から順に、広島市安佐南区から同市西区その沖合に至る長さ約23kmの己斐断層区間、広島市安佐北区から同市佐伯区を経て広島県廿日市市に至る長さ約27kmの五日市断層区間、広島県大竹市から山口周南市に至る長さ約46kmの岩国断層区間です。いずれも右横ずれが卓越する断層であり、己斐断層区間及び岩国断層区間では北西側、五日市断層区間では西側が相対的に隆起する上下成分を伴います。
【 断層帯の過去・将来の活動 】 【 将来の地震発生の可能性 】 【 もしこの地震が発生したら 】 【 リンク 】
○断層帯の過去・将来の活動 [上に戻る]
<過去の活動>
己斐断層区間の最新活動時期は約2万3千年前以前であった可能性がありますが、平均活動間隔は不明です。
五日市断層区間の最新活動時期は7世紀以後、12世紀以前であったと推定されますが、平均活動間隔は不明です。
岩国断層帯区間の最新活動時期は、約1万~1万1千年前と推定されます。また、平均的活動間隔は約9千~1万8年であった可能性があります。
<将来の活動>
己斐断層区間は、全体が1つの区間として活動し、M7.1程度の地震が発生すると推定されます。この場合、2m程度の右横ずれを生じる可能性があります。なお、己斐断層区間では、過去の詳しい活動時期及び平均的な活動間隔に関するデータが得られていないため、将来このような地震が発生する長期確率を求めることはできません。
五日市断層区間は、全体が1つの区間として活動し、M7.2程度の地震が発生すると推定されます。この場合、3m程度の右横ずれを生じる可能性があります。なお、五日市断層区間では、平均的な活動間隔及び平均的なずれの速度に関するデータが得られていないため、将来このような地震が発生する長期確率を求めることはできません。
岩国断層区間は、全体が1つの区間として活動し、M7.6程度の地震が発生すると推定されます。この場合、5m程度の右横ずれを生じる可能性があります。地震発生の長期確率には幅がありますが、その最大値をとると、岩国断層区間は今後30年の間に地震が発生する確率が我が国の主な活断層の中ではやや高いグループに属することになります。
本断層帯の各区間はそれぞれ別々に活動すると推定されますが、複数区間が同時に活動する可能性も否定できません。その場合にはM7.9~8.0程度の地震が発生する可能性もあります。この場合の地震発生確率を求めることはできませんが、各区間がそれぞれ単独で活動する確率より大きくなることはないと考えられます。
詳しい内容を知りたい方は、「岩国-五日市断層帯(岩国断層帯・五日市断層帯)の長期評価(一部改訂)」をご覧下さい。
また、関連資料として「中国地域の活断層の長期評価」もご覧下さい。
○将来の地震発生の可能性 [上に戻る]
[己斐断層区間]
地震の規模 : M7.1程度
地震発生確率: 不明 (地震発生確率値の留意点)
地震後経過率: 不明 (地震後経過率とは?)
平均活動間隔: 不明
最新活動時期: 約23000年前以前
[五日市断層区間]
地震の規模 : M7.2程度
地震発生確率: 不明 (地震発生確率値の留意点)
地震後経過率: 不明 (地震後経過率とは?)
平均活動間隔: 不明
最新活動時期: 7世紀以後、12世紀以前
[岩国断層区間]
地震の規模 : M7.6程度
地震発生確率: 今後30年以内に、0.03%~2% (地震発生確率値の留意点)
地震後経過率: 0.6~1.2 (地震後経過率とは?)
平均活動間隔: 約9000年~18000年
最新活動時期: 約10000年~11000年前
詳しい内容を知りたい方は、「岩国-五日市断層帯(岩国断層帯・五日市断層帯)の長期評価(一部改訂)」および「長期評価結果一覧」をご覧下さい。
また、関連資料として「中国地域の活断層の長期評価」もご覧下さい。
○もしこの地震が発生したら [上に戻る]
≪己斐断層区間≫
≪五日市断層区間≫
≪岩国断層区間≫
≪同時活動(己斐断層区間・岩国断層区間)≫
≪同時活動(五日市断層区間・岩国断層区間)≫
詳しい内容を知りたい方は、「全国地震動予測地図2020年版」をご覧下さい。
全国地震動予測地図の詳細なデータや関連情報は地震ハザードステーション(J-SHIS)をご参照下さい。
○リンク [上に戻る]
地震動予測地図等
- 全国地震動予測地図
「全国地震動予測地図」 のページです。 - 地震ハザードステーション(J−SHIS)
防災科学技術研究所の地震ハザードステーション(J−SHIS)です。地震動予測地図の各種地図の閲覧、数値データ等のダウンロードが可能です。 - 長周期地震動予測地図
将来ある特定の地震が発生した際に生じる長周期地震動の揺れの強さや性質を予測した地図です。 - 「中国地域の活断層の長期評価(第一版)」で評価対象となった活断層で発生する地震の予測震度分布(簡便法計算結果)
中国地域評価において新たに詳細な評価を行った断層帯および評価の改訂を行った主要活断層帯について、簡便法により予測震度分布を計算した結果を掲載しています。
掲載した活断層: 宍道(鹿島)断層,雨滝-釜戸断層,鹿野-吉岡断層,日南湖断層,岩坪断層,山崎断層帯(那岐山断層帯・山崎断層帯主部北西部区間),長者ヶ原-芳井断層,宇津戸断層,安田断層,菊川断層帯,岩国-五日市断層帯,周防灘断層帯,安芸灘断層帯,広島湾-岩国沖断層帯,宇部南方沖断層,弥栄断層,地福断層,大原湖断層,小郡断層,筒賀断層,滝部断層,奈古断層,栄谷断層,黒瀬断層
活断層評価等
- 長期評価 (岩国-五日市断層帯(岩国断層帯・五日市断層帯)の長期評価(一部改訂))
岩国-五日市断層帯(岩国断層帯・五日市断層帯)の将来の地震発生の可能性についての評価です。 - 長期評価結果一覧
主要な活断層や海溝型地震(プレートの沈み込みに伴う地震)の活動間隔、次の地震の発生可能性〔場所、規模(マグニチュード)及び発生確率〕等の評価(長期評価)の概要を一覧にして掲載しています。 - 「中国地域の活断層の地域評価」
中国地域の陸域及び沿岸海域に分布し、M6.8以上の地震を引き起こす可能性のある活断層について、総合的に評価しました。 - 活断層調査
- 産業技術総合研究所 活断層データベース
日本全国の活断層(活動セグメント)の分布とそのパラメータ、日本の活断層に関係する文献の書誌データ、文献から採録された調査地点ごとの調査結果データ、地下数十キロメートルまでの地下構造データが収録されています。 - 国土地理院 活断層図(都市圏活断層図)
国土地理院の活断層図(都市圏活断層図)のページです。
地震活動等
- 毎月の地震活動の評価
地震調査委員会による毎月(および臨時)の地震活動の評価です。 - 主な地震活動の評価
各地震活動について、これまでに公表された評価結果をとりまとめたものです。 - 日本の地震活動 −被害地震から見た地域別の特徴−
全国の地震活動の概要と地震に関する基礎知識、そして、日本を北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国及び九州・沖縄に区分し、その地方の地震活動の概要をはじめ、その地域に被害を及ぼす地震のタイプ、これまでに発生した主な被害地震の概要、都道府県別(北海道は地域別)の特徴について書かれています。 - 震源・震度に関する情報
気象庁、防災科学技術研究所、大学などの地震観測データに基づく震源・震度に関する情報です。 - 地震に関するパンフレット
地震発生のしくみ、地震調査研究推進本部の取組などを解説した各種パンフレットです。
地方自治体等
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