3. 2008年版と2007年版との違いについて
地震動予測地図は作成手法の高度化の検討の成果に加え、時間の経過や大地震の発生による地震発生確率の変化を踏まえ、適切な時期に見直していくべきものです。この一環として、2006年9月に更新した2006年版、2007年4月に更新した2007年版に引き続き、今回2008年版地震動予測地図として更新しました。ここでは、2008年版と2007年版の地震動予測地図の違いについて説明します。2007年版との計算手法などの変更点については付録4を参照してください。
更新の結果
2008年版と2007年4月に公表した2007年版との確率の値の差分(平均ケース)を図3.1に示し、各地域で確率値が変化した主な原因を下記に記載します。
- 北海道北部に見られる確率値の低下は、サロベツ断層帯が「その他の活断層(サロベツ撓曲帯)」から「主要活断層帯(サロベツ断層帯)」となり、平均ケースの地震発生確率が低くなったことによる(参考:平成19年11月 サロベツ断層帯の長期評価公表)。しかし、最大ケースの地震発生確率は高くなっているため、この地域の最大ケースの確率値は高くなっている(図1.1−2)。
- 北海道東部、青森県東部で見られる確率値の上昇は、計算基準日を2007年1月1日→2008年1月1日に更新したことにより、それぞれ千島海溝沿い、三陸沖北部の海溝型地震の地震発生確率が高くなったことによる。
- 宮城県で見られる確率値の上昇は、計算基準日を2007年1月1日→2008年1月1日に更新したことにより、宮城県沖の海溝型地震の発生確率が高くなったことによる。
- 山形県で見られる確率値の低下は、山形盆地断層帯の平均ケース地震発生確率が低くなったことと想定している地震の規模が小さくなったことによる(参考:平成19年8月 山形盆地断層帯の長期評価の一部改訂)。また、山形盆地断層帯北部の最大ケースの地震発生確率は高くなったが、想定している地震の規模が小さくなったため、この地域の最大ケースの確率値も低くなっている(図1.1−2)。
- 佐渡島周辺で見られる確率値の若干の上昇は、この地域の震源不特定地震の頻度が上昇したことによる。
- 富山県で見られる確率値の低下は、魚津断層帯が「その他の活断層(黒菱山断層帯)」から「主要活断層帯(魚津断層帯)」となり、地震発生確率が低くなったことによる(参考:平成19年5月 魚津断層帯の長期評価公表)。
- 長野県南部でみられる確率値の低下は、伊那谷断層帯の地震発生確率が低くなったことによる(参考:平成19年10月 伊那谷断層帯の長期評価の一部改訂)。
- 九州北部で見られる確率値の上昇は、警固断層帯が「その他の活断層(警固断層)」から「主要活断層帯(警固断層帯)」となり、警固断層帯南東部の地震発生確率が従来の警固断層よりも高くなったことによる(参考:平成19年3月 警固断層帯の長期評価公表)。
- 関東南部から四国地方にかけての太平洋沿岸で見られる確率値の上昇は、計算基準日を2007年1月1日→2008年1月1日に更新したことにより、南海トラフの地震の発生確率が高くなったことによる。
図3.1 2008年版と2007年版の確率値の差の分布図
(今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率)
赤色:2008年版の確率値が2007年版より大きい
青色:2008年版の確率値が2007年版より小さい
※図をクリックすると大きな図を見ることができます。
表3.1 都道府県庁所在地がある市役所舎及び北海道の支庁舎付近において、
今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(2008年)
県庁所在地・北海道の支庁の名称 | 30年以内震度6弱以上 確率 |
|
---|---|---|
2008年 | (2007年) | |
札幌 | 0.5% | (0.5%) |
石狩 | 0.6% | (0.6%) |
渡島 | 0.1% | (0.1%) |
桧山 | 0.1% | (0.1%) |
後志 | 0.1% | (0.1%) |
空知 | 2.0% | (2.0%) |
上川 | 0.03% | (0.03%) |
留萌 | 0.3% | (0.3%) |
宗谷 | 0.5% | (0.6%) |
網走 | 1.7% | (1.7%) |
胆振 | 0.1% | (0.1%) |
日高 | 32.9% | (32.6%) |
十勝 | 8.4% | (8.3%) |
釧路 | 17.5% | (17.3%) |
根室 | 45.7% | (44.9%) |
青森 | 1.4% | (1.3%) |
盛岡 | 0.2% | (0.2%) |
仙台 | 2.8% | (2.8%) |
秋田 | 1.5% | (1.6%) |
山形 | 0.8% | (2.4%) |
福島 | 0.1% | (0.1%) |
水戸 | 8.3% | (8.3%) |
宇都宮 | 0.3% | (0.3%) |
前橋 | 0.9% | (0.9%) |
さいたま | 12.1% | (12.0%) |
千葉 | 27.2% | (27.1%) |
東京 | 11.4% | (11.4%) |
横浜 | 32.9% | (32.7%) |
県庁所在地・北海道の支庁の名称 | 30年以内震度6弱以上 確率 |
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---|---|---|
2008年 | (2007年) | |
新潟 | 3.4% | (3.3%) |
富山 | 2.5% | (2.6%) |
金沢 | 1.0% | (1.0%) |
福井 | 1.4% | (1.4%) |
甲府 | 82.3% | (82.0%) |
長野 | 5.7% | (5.7%) |
岐阜 | 8.1% | (7.9%) |
静岡 | 86.8% | (86.5%) |
名古屋 | 37.7% | (37.1%) |
津 | 62.5% | (61.3%) |
大津 | 7.2% | (7.1%) |
京都 | 6.5% | (6.4%) |
大阪 | 23.0% | (22.5%) |
神戸 | 8.2% | (8.0%) |
奈良 | 16.0% | (15.7%) |
和歌山 | 35.1% | (34.1%) |
鳥取 | 0.8% | (0.8%) |
松江 | 0.8% | (0.8%) |
岡山 | 9.1% | (8.7%) |
広島 | 10.2% | (9.7%) |
山口 | 0.7% | (0.6%) |
徳島 | 46.5% | (44.9%) |
高松 | 21.4% | (20.6%) |
松山 | 22.7% | (21.8%) |
高知 | 54.3% | (52.3%) |
福岡 | 2.3% | (0.6%) |
佐賀 | 0.6% | (0.5%) |
長崎 | 0.7% | (0.7%) |
熊本 | 2.0% | (2.0%) |
大分 | 15.7% | (15.0%) |
宮崎 | 13.3% | (13.0%) |
鹿児島 | 3.7% | (3.7%) |
那覇 | 15.3% | (15.4%) |