3. 2007年版と2006年版との違いについて
地震動予測地図は作成手法の高度化の検討の成果に加え、時間の経過や大地震の発生による地震発生確率の変化を踏まえ、適切な時期に見直していくべきものです。この一環として、2006年9月に更新した2006年版に引き続き、今回2007年版地震動予測地図として更新しました。ここでは、2007年版と2006年版の地震動予測地図の違いについて説明します。2006年版との計算手法などの変更点については付録3を参照してください。
更新の結果
2007年版と2006年9月に公表した2006年版との確率の値の差分(平均ケース)を図3.1に示し、各地域で確率値が変化した主な原因を下記に記載します。
- 北海道東部、青森県東部で見られる確率値の上昇は、計算基準日を2006年1月1日→2007年1月1日に更新したことにより、それぞれ千島海溝沿い、三陸沖北部の海溝型地震の発生確率が高くなったことが原因です。
- 宮城県で見られる確率値の上昇は、計算基準日を2006年1月1日→2007年1月1日に更新したことにより、宮城県沖の海溝型地震の発生確率が高くなったことが原因です。
- 新潟県北部の確率値の上昇は、櫛形山脈断層帯の長期評価の一部改訂(平成18年10月公表)に伴い、櫛形山脈断層帯の発生確率が高くなったことが原因です。
- 新潟県中部で見られる確率値の若干の上昇は、2005年以降に発生した新潟県中越地震の余震の影響により、新潟県中越地方の震源不特定地震の頻度が上昇したことが原因です。
- 山梨県東部で見られる確率値の上昇は、曽根丘陵断層帯の長期評価公表(平成18年12月)により、「その他の活断層(甲府盆地南縁断層帯)」から「主要活断層帯(曽根丘陵断層帯)」となり、発生確率が高くなったことが原因です。逆に、北部の断層長さが短くなったため、山梨県中央北部では確率値の低下が見られます。
- 長野県西部で見られる確率値の上昇は、境峠・神谷断層帯の長期評価の一部改訂(平成18年10月公表)により、境峠・神谷断層帯主部の発生確率が高くなったことが原因です。
- 関東南部から四国地方にかけての太平洋沿岸で見られる確率値の上昇は、計算基準日を2006年1月1日→2007年1月1日に更新したことにより、南海トラフの地震の発生確率が高くなったことが原因です。
- 九州地方東部、瀬戸内海周辺と沖縄地方で見られる確率値の上昇と、九州地方西部と山口県西部の確率値の低下は、フィリピン海プレート内の震源不特定地震の一部(やや深発地震)に適用する距離減衰式に異常震域の補正を導入したことが原因です。
図3.1 2007年版と2006年版の確率値の差の分布図
(今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率)
赤色:2007年版の確率値が2006年版より大きい
青色:2007年版の確率値が2006年版より小さい
※図をクリックすると大きな図を見ることができます。
表3.1 都道府県庁所在地がある市役所舎及び北海道の支庁舎付近において、
今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(2007年)