data setは, 地質調査所が,文献[26]を改訂したもの 及び文献[27, 28]の結果を取りまとめたものを用いた。 このdata setのうち,最も古い地震の発生年代は推定幅が広く, 他の地震と同列に扱うことがはばかられるので,それを除いたdata setについても計算した。 表3.10に実際に計算に用いたdata setを示す。
表 3.10: 阿寺断層の地震の発生年と発生間隔。
発生間隔の算出には発生年の中央値を採用。
以後data set 阿寺Iとし,最古の地震を除いたものをdata set 阿寺IIとする。
更に最新の地震を除いたものを
それぞれdata set 阿寺I',data set 阿寺II'とする
以上のdata setから,式(2.1)〜(2.4)の分布について, 3.1での手続きと同様に各パラメータの最尤値を求めた。 各data setでのパラメータの最尤値を表3.11に示す。
表 3.11: data set I〜II'について最尤法によって求めた
各モデルのパラメータとAICの値,及びPoisson過程(指数分布)のAICの値。
bold体は4モデル中の最小のAICを示す
表を見る限り,AICには有意な差は認められず, いずれのモデルが適切かはこのデータからは判断できない。 また,この表からも,Poisson過程(指数分布)のAICは, 4つのモデルと比べて有意に大きいと言える。
上表のパラメータを用いて,data set Iに関する1999年時点の, またdata set I'に関する最新の地震発生直前時点の 今後30年,50年及び100年以内に地震が発生する確率を計算した。 結果を表3.12に示す。
表 3.12: 各分布毎の,阿寺断層を震源域とする,
今後30年,50年及び100年の地震発生確率