観測事象列データ がそれぞれ密度関数 に従うとき, 不確定データをパラメータとして,これをいわゆる事前分布と考える。 確定した時刻については (Diracのデルタ関数) を考えればよい。 尤度 (付録B.2参照)と合わせた事後分布(確率分布)
が不確定なデータ の位置の確からしさを示す同時分布を与える。 ここで,分母は分子の に関する積分(規格化因子)
であるが,これは点過程モデルのパラメータ に関する尤度と考えられ, Bayesモデルの尤度(又は積分尤度)と呼ばれている。 これを最大化することによってパラメータ の最尤推定値を求める。 更新過程モデルの場合,その対数尤度関数は次のように書ける。
積分は密度関数 の台(support) を等分に離散化して 逐次的に数値積分を実行する(台が ならばDiracのデルタ関数)。 すなわち
ただし, ならば であることに注意する。 このようにして,もしすべてのデータ が確定していれば, 式(2.33)が付録B.2の 式(B.6)で記述される通常の対数尤度に帰着することが分かる。
以上の推定方式は信頼性のあるデータとそうでないデータを同等に扱わないで,
それぞれの不確定性に見合ってモデルのパラメータ を推定できるので有利である。
不確定時刻のそれぞれの推定周辺密度関数は,
その他の時刻に関して事後分布を積分して得ることができる。