滋賀県
滋賀県に被害を及ぼす地震は、主に陸域の浅いところで発生する地震と、沈み込むフィリピン海プレート内のやや深い地震です。
滋賀県とその周辺の主な被害地震 (図をクリックすると拡大表示)
滋賀県に被害を及ぼした陸域の浅い場所で発生した地震のうち、歴史の資料によって知られている最も古い地震は、976年の地震です。この地震の規模はM6.7以上と推定されており、この地震により、京都府南部や滋賀県で死者50名以上などの被害が生じました。また、方丈記にも出てくる1185年(M7.4)の地震は、琵琶湖西岸断層帯の南部の活動と考えられており、琵琶湖の南西岸を中心に大きな被害を与えました。この地域で知られている最大級の地震は、1662年の地震(M7 1/4〜7.6)です。特に県北西部の比良山地を通る若狭街道沿いの被害が甚大でした。被害は福井県域にも及び、全体の死者は800名以上となりました。この地震は、地盤の液状化の跡、地盤の上下変動の記録、活断層調査などから、三方・花折断層帯に含まれる三方断層帯及び花折断層帯北部で発生したと考えられています。また、琵琶湖北部の竹生島の一部を崩壊させた1325年の地震(M6.5)は、活断層調査によると柳ヶ瀬断層で発生した可能性があると指摘されています。明治以降では、柳ヶ瀬断層の南端付近で1909年の江濃地震(M6.8:姉川地震と呼ぶこともあります)が発生し、県内では死者35名などの被害が生じました。
沈み込んだフィリピン海プレート内で発生した陸域のやや深い地震としては、1819年(M7 1/4)があります。県内外の広い地域に被害を与えました。同様の地震は1802年(M6.5〜7.0)にも発生しています。
1854 年の伊賀上野付近の地震(M7 1/4)や1891年の濃尾地震(M8.0)のように周辺地域で発生する大きい地震や、1952年の吉野地震(M6.7、深さ61km)のように沈み込んだフィリピン海プレート内で発生する地震、南海トラフ沿いで発生する巨大地震によっても滋賀県内で被害が生じたことがあります。
県内には、福井・岐阜県との県境付近で柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯と野坂・集福寺断層帯が平行に走っており、それに直交するように湖北山地断層帯が、さらにその延長上には琵琶湖西岸断層帯と三方・花折断層帯が延びています。南東部には、南北方向に鈴鹿西縁断層帯と頓宮断層が平行に走っており、それに直交するように京都府南東部から三重県境付近に延びる木津川断層帯があります。
また、滋賀県周辺に震源域のある海溝型地震はありませんが、南海トラフ沿いで発生する地震で被害を受ける可能性もあります。琵琶湖周辺では地盤がやや軟弱で揺れが強くなる可能性があります。
県内全域が、南海トラフの地震で著しい地震災害が生じるおそれがあり、「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されています。
【 滋賀県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 】
【 滋賀県に被害を及ぼした主な地震 】 【 リンク 】
○滋賀県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 [上に戻る]
地震 | マグニチュード | 地震発生確率 (30年以内) 【地震発生確率値の留意点】 |
||
海溝型地震 | ||||
南海トラフ | 南海トラフで発生する地震 | 8〜9クラス | 70%程度 | |
内陸の活断層で発生する地震 | ||||
濃尾断層帯 | 温見断層 (北西部) | 6.8程度 | ほぼ0% | |
温見断層 (南東部) | 7.0程度 | 不明 | ||
主部 (根尾谷断層帯) | 7.3程度 | ほぼ0% | ||
主部 (梅原断層帯) | 7.4程度 | ほぼ0% | ||
主部 (三田洞断層帯) | 7.0程度 | 不明 | ||
揖斐川断層帯 | 7.1程度 | 不明 | ||
武儀川断層 | 7.3程度 | 不明 | ||
柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯 | 主部(北部) | 7.6程度 | ほぼ0% | |
主部(中部) | 6.6程度 | 不明 | ||
主部(南部) | 7.6程度 | 不明 | ||
浦底−柳ヶ瀬山断層帯 | 7.2程度 | 不明 | ||
野坂・集福寺断層帯 | 野坂断層帯 | 7.3程度 | ほぼ0% もしくはそれ以上 |
|
集福寺断層 | 6.5程度 | 不明 | ||
湖北山地断層帯 | 北西部 | 7.2程度 | ほぼ0% | |
南東部 | 6.8程度 | ほぼ0% | ||
琵琶湖西岸断層帯 | 北部 | 7.1程度 | 1%〜3% | |
南部 | 7.5程度 | ほぼ0% | ||
養老−桑名−四日市断層帯 | 8程度 | ほぼ0%〜0.7% | ||
鈴鹿東縁断層帯 | 7.5程度 | ほぼ0%〜0.07% | ||
鈴鹿西縁断層帯 | 7.6程度 | 0.08%〜0.2% | ||
頓宮断層 | 7.3程度 | 1%以下 | ||
布引山地東縁断層帯 | 西部 | 7.4程度 | ほぼ0%〜1% | |
東部 | 7.6程度 | 0.001% | ||
木津川断層帯 | 7.3程度 | ほぼ0% | ||
三方・花折断層帯 | 三方断層帯 | 7.2程度 | ほぼ0% | |
花折断層帯 (北部) | 7.2程度 | 不明 | ||
花折断層帯 (中南部) | 7.3程度 | ほぼ0%〜0.6% | ||
京都盆地−奈良盆地断層帯南部 (奈良盆地東縁断層帯) |
7.4程度 | ほぼ0%〜5% | ||
有馬−高槻断層帯 | M7.5程度 (±0.5) |
ほぼ0%〜0.03% | ||
生駒断層帯 | 7.0〜7.5程度 | ほぼ0%〜0.1% | ||
三峠・京都西山断層帯 | 上林川断層 | 7.2程度 | 不明 | |
三峠断層 | 7.2程度 | 0.4%〜0.6% | ||
京都西山断層帯 | 7.5程度 | ほぼ0%〜0.8% | ||
六甲・淡路島断層帯 | 主部 (六甲山地南縁− 淡路島東岸区間) |
7.9程度 | ほぼ0%〜1% | |
主部 (淡路島西岸区間) | 7.1程度 | ほぼ0% | ||
先山断層帯 | 6.6程度 | ほぼ0% | ||
上町断層帯 | 7.5程度 | 2%〜3% | ||
中央構造線断層帯 | 金剛山地東縁 | 6.9程度 | ほぼ0%〜5% | |
和泉山脈南縁 | 7.6−7.7程度 | 0.07%〜14% | ||
紀淡海峡−鳴門海峡 | 7.6−7.7程度 | 0.005%〜1% | ||
伊勢湾断層帯 | 主部 (北部) | 7.2程度 | ほぼ0% | |
主部 (南部) | 6.9程度 | ほぼ0%〜0.002% | ||
白子−野間断層 | 7.0程度 | 0.2%〜0.8% |
○滋賀県に被害を及ぼした主な地震 [上に戻る]
西暦(和暦) | 地域(名称) | M | 主な被害(括弧は全国での被害) |
976年7月22日 (貞元1) |
山城・近江 | 6.7以上 | (死者50人以上、社寺等倒壊多数。) |
1185年8月13日 (文治1) |
近江・山城・大和 | 7.4 | (社寺倒壊多く、死者多数。琵琶湖の湖水減少。) |
1325年12月5日 (正中2) |
近江北部・若狭 | 6.5 | 琵琶湖北方に山崩れあり。竹生島の一部が崩れる。 |
1586年1月18日 (天正13) |
畿内・東海・東山・北陸諸道(天正地震) | 7.8(8.2とする文献もある) | 近江長浜で被害。 |
1596月9年5日 (慶長1) |
畿内(慶長伏見地震とも呼ばれる) | 7 1/2±1/4 | 現在の栗太郡栗東町で、家屋全壊、死者多数。 |
1662年6月16日 (寛文2) |
山城・大和・河内・和泉・摂津・丹後・若狭・近江・美濃・伊勢・駿河・三河・信濃 | 7 1/4〜7.6 | 比良岳付近を中心に被害。死者は大溝で37人、彦根30人余、榎村300人余、戸川村260人余、家屋全壊3,600棟以上。 |
1707年10月28日 (宝永4) |
(宝永地震) | 8.6 | 死者1人、家屋全壊80棟。 |
1819年8月2日 (文政2) |
伊勢・美濃・近江 | 7 1/4±1/4 | 琵琶湖東岸を中心に、死者、家屋全壊多数。 |
1830年8月19日 (天保1) |
京都および隣国 | 6.5 | 大津で死者1人、負傷者2人、家屋全壊6棟。 |
1854年7月9日 (安政1) |
伊賀・伊勢・大和および隣国(伊賀上野地震とも呼ばれる) | 7 1/4±1/4 | (死者約1,500人。) |
1891年10月28日 (明治24) |
(濃尾地震) | 8.0 | 死者6人、負傷者47人、家屋全壊404棟。 |
1909年8月14日 (明治42) |
(江濃地震、姉川地震とも呼ばれる) | 6.8 | 琵琶湖東北岸付近を中心に被害。死者35人、負傷者643人、住家全壊972棟。 |
1944年12月7日 (昭和19) |
(東南海地震) | 7.9 | 住家全壊7棟。 |
1946年12月21日 (昭和21) |
(南海地震) | 8.0 | 死者3人、負傷者1人、住家全壊9棟。 |
1952年7月18日 (昭和27) |
(吉野地震) | 6.7 | 死者1人、負傷者13人、住家全壊6棟。 |
2004年9月5日 (平成16) |
紀伊半島南東沖 →【地震本部の評価】 |
7.4 | 負傷者1人。 |
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