島根県
島根県に被害を及ぼす地震は、主に陸域や沿岸部の浅い場所で発生する地震と、南海トラフ沿いで発生する地震と、日本海東縁部の地震です。
島根県とその周辺の主な被害地震 (図をクリックすると拡大表示)
歴史の資料によれば、880年に出雲で陸域の浅い場所で起きたと見られる地震(M7.0)が発生しています。この地震の発生源は、最近の研究によって、島根半島北東部にある活断層である可能性が指摘されています。
古代には現在の益田市の沖に鴨島という島があったが万寿の大波によって海中に沈んだ、という伝承があり、特に江戸時代の資料などに登場します。最近の調査の結果、鴨島が実在していたかは判りませんでしたが、11世紀頃に益田市の海から2km程度以内の限られた範囲に津波が遡上していたことを示す堆積物が見つかりました。しかし、その襲来範囲は伝承より狭く、局地的な津波だったと考えられています。またこの局地的な津波の原因は日本海の大地震ではなく、益田市沖合の海底地すべりと考えられています。
島根県西部の石見地方では、1778年にM6.5、1859年にM6.0〜6.5の地震が発生し、局地的に被害が生じました。最近では、1997年6月に山口・島根県境付近で地震(M6.6)が発生し、小被害が生じました。
1872年に発生した浜田地震(M7.1)では、震源域が浜田付近の沿岸から日本海沖合にあったと推定されています。これは陸域の浅い場所で発生した地震と同じタイプの地震と考えられます。本震の約1時間前に、かなりの大きさの前震がありました。被害は資料によって異なりますが、当時の浜田県管下震災表によると、旧浜田県では、死者536名や家屋全壊4,000棟以上、旧出雲県で死者15名や家屋全壊450棟以上などの被害が生じました。また、この地震では海岸の昇降が見られたほか、小津波がありましたが、これによる被害は知られていません。
島根県では、島根県東部の鳥取県境近くと三瓶(さんべ)山付近から広島県にかけての地域などでM5〜6クラスの地震が発生しています。両地域周辺には、顕著な活断層がなく、活断層との関連は不明です。
1943年の鳥取地震(M7.2)や「平成12年(2000年)鳥取県西部地震」(M7.3)、「平成13年(2001年)芸予地震」(M6.7)などのように周辺地域で発生した地震によっても被害を受けたことがあります。
島根県でも沖積層の厚い平野部では、南海トラフ沿いで発生した巨大地震によって、強く長い揺れによる被害を受けることがあります。1946年の南海地震(M8.0)では、出雲平野などで死者9名、家屋全壊71棟などの被害が生じました。また、1854年の安政南海地震(M8.4)でも、出雲地方で強い揺れによる被害が生じました。
1964年の「新潟地震」(M7.5)、「昭和58年(1983年)日本海中部地震」(M7.7)あるいは「平成5年(1993年)北海道南西沖地震」(M7.8)で発生した津波のように、日本海東縁部の大地震によっても、隠岐諸島や島根半島の沿岸域でかなり大きな津波被害を受けることがあります。「昭和58年(1983年)日本海中部地震」による津波では、県内で負傷者5名のほか、床上浸水や船舶の沈没などの被害が生じました。また、日本海南西部では1940年の隠岐島近海の地震(M6.6)のように、逆断層型の地震が浅い場所で発生することもあり、沿岸で津波による被害が生じる可能性もあります。日本海側の内湾に面した地域では総じて太平洋側より低い、海抜1m程度の高さから土地利用している場合もあります。日常使っている土地の標高をあらかじめ知っておくことも津波対策として重要です。
島根県には、宍道(しんじ)湖周辺に活動度の低い活断層が分布するほかは、活断層はほとんど知られていません。また、島根県周辺に震源域のある海溝型地震はありませんが、前述のように、南海地震や日本海東縁部で発生する地震で被害を受ける可能性もあります。
出雲平野周辺などでは、やや軟弱な地盤の影響で、地震が発生したときには、周辺の地域に比べて揺れが大きくなる可能性があります。
【 島根県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 】
【 島根県に被害を及ぼした主な地震 】 【 リンク 】
○島根県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 [上に戻る]
地震 | マグニチュード | 地震発生確率 (30年以内) 【地震発生確率値の留意点】 |
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海溝型地震 | ||||
南海トラフ | 南海トラフで発生する地震 | 8〜9クラス | 70%程度 | |
日向灘および 南西諸島海溝 周辺 |
安芸灘〜伊予灘〜豊後水道 | 6.7〜7.4 | 40%程度 | |
内陸の活断層で発生する地震 | ||||
五日市断層帯 | 五日市断層 | 7.0程度 | 不明 | |
己斐−広島西縁断層帯 | 6.5程度 | 不明 |
○島根県に被害を及ぼした主な地震 [上に戻る]
西暦(和暦) | 地域(名称) | M | 主な被害(括弧は全国での被害) |
880年11月23日 (元慶4) |
出雲 | 7.0 | 神社、仏閣、家屋転倒す。 |
1676年7月12日 (延宝4) |
石見 | 6.5 | 津和野城などに被害。死者7人、負傷者35人、住家倒壊133棟。 |
1707年10月28日 (宝永4) |
(宝永地震) | 8.6 | 出雲で住家倒壊117棟など。 |
1854年12月24日 (安政元) |
(安政南海地震) | 8.4 | 出雲杵築大社で潰150棟。 |
1859年1月5日 (安政5) |
石見 | 6.2 | 那賀郡、美濃郡で揺れが強く、波佐村、周布村、美濃村などで家屋倒壊56棟。 |
1859年10月4日 (安政6) |
石見 | 6.0〜6.5 | 那賀郡で揺れが強く、周布村で家屋倒壊数戸。 |
1872年3月14日 (明治5) |
(浜田地震) | 7.1 | 死者551人、負傷者582人、家屋全壊4,506棟、同焼失230棟。海岸で海水の変動あり。 |
1946年12月21日 (昭和21) |
(南海地震) | 8.0 | 死者9人、負傷者16人、住家全壊71棟。 |
2000年10月6日 (平成12) |
(平成12年(2000年) 鳥取県西部地震) →【地震本部の評価】 |
7.3 | 負傷者11人、住家全壊34棟。 |
2001年3月24日 (平成13) |
(平成13年(2001年) 芸予地震) →【地震本部の評価】 |
6.7 | 負傷者3人。 |
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