平成12年10月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

鳥取県西部の地震活動の評価


○ 10月6日13時30分頃に鳥取県西部の深さ約10kmでマグニチュード(M)7.3(暫定)の地震が発生し、最大震度6強を観測した。また、10月6日16時21分頃のM4.2の余震及び10月8日20時51分頃のM5.0の余震で最大震度5弱を観測した。

この地震の後に多数の地震が発生しているが、時間とともに少なくなってきている。また、それらの震源は、10日7時現在、北北西−南南東方向に長さ約30kmに分布している。これらのことから、これまでの地震活動は本震−余震型と考えられる。発震機構は、東西方向に圧力軸を持つ横ずれ型で、余震の分布から、北北西−南南東走向の震源断層が左横ずれをしたと考えられる。

○ 余震活動は、平均的な余震活動より減衰が遅い傾向を示している。また、M別頻度分布は、大きめの地震の発生数が、平均的なものより少ない傾向を示している。

10月10日7時現在の最大の余震は、10月8日20時51分頃のM5.0の地震である。この地震は余震域の北端付近に発生した。

一方、10月8日13時17分頃にM5.5の地震が余震域から西南西約25kmのところに発生した。この地震は、今回の本震で誘発されたものと考えられる。

○ 最近のGPS観測の結果では、この地域は歪の程度は小さいが、ほぼ東西方向の縮み傾向を示す地域であり、今回の地震の発震機構はこれに整合している。また、GPS観測の結果には、今回の本震に伴う変化が見出されている。

○ 鳥取県西部地域は、M6.0以上の地震の発生は近年では知られていないが、今回の地震活動域付近では、1990年頃に今回と同様の方向に分布する地震活動があり、このときM5クラスの地震が複数回発生している。

○ 10月11日12時から3日以内にM5.0以上の余震が発生する確率は約10%と推定される。また、M3.0以上の余震の発生数は10月末には1日あたり5個程度となると推定される。

○ なお、地震観測やGPS観測の結果から解析された震源断層モデルの計算によると、今回の余震域の南側で変位が大きかったことが推定される。現在までの現地調査によると、今回の震央付近において、地表地震断層の可能性がある亀裂や変形が複数地点で認められている。今回の余震域の近くに北西−南東方向の短い活断層が推定されているが、今回の地震とは無関係であると考えられる。