千葉県
千葉県に被害を及ぼす地震は、主に、相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近で発生する地震、関東地方東方沖合のプレート境界付近で発生する地震と、陸域の様々な深さの場所で発生する地震です。
千葉県とその周辺の主な被害地震 (図をクリックすると拡大表示)
相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近で発生する地震としては、1703年の元禄地震(M7.9〜M8.2)と1923年の関東地震(M7.9)の二つのM8程度の巨大地震がよく知られています。これらの地震の震源域は房総半島南端を含んでいると考えられており、房総半島南部を中心に強い揺れが生じました。これらの地震では、一部の地域では震度7相当の揺れであったと推定されています。また、二つの地震とも大きな津波が発生しました。震源域が陸に近いために、津波は地震発生後短時間に来襲したと考えられます。1703年の元禄地震では、房総半島での津波による死者は6,500名以上と考えられています。1923年の関東地震では、地震動と津波による被害を合わせて、県内で死者・行方不明者1,342名などの被害が生じました。房総半島南端の野島崎では、これらの地震に伴って、元禄地震では約6m、関東地震では約2m地面が隆起しました。房総半島には、元禄地震に伴う海岸の隆起によって作られたと考えられる海岸段丘が約6,000年間に4段作られており、過去にも元禄地震と同様に海岸を隆起させるような地震があったと考えられています。
関東地方東方沖合から福島県沖にかけてのプレート境界付近で発生した地震としては、明治以降では、1909年の房総半島南東沖の地震(1日にM6.7とM7.5の2つの地震が発生)、1938年の福島県東方沖地震(M7.5)、1953年の房総沖地震(M7.4)などが知られていますが、これらの地震による大きな被害は知られていません。また、M8を越えるような巨大地震の発生は知られていません。1953年の房総沖地震は太平洋プレート内部で発生した正断層型の地震と考えられており、銚子付近に最大2〜3mの高さの津波が襲来しましたが、被害は軽微でした。しかし、歴史の資料によると、1677年にはM8程度の規模で房総半島東方沖に発生したと考えられる地震により、津波や強い揺れによって、県内では溺死者246名などの被害が生じたことがあります。
1855年の(安政)江戸地震(M6.9)や茨城県南西部で発生する地震のように周辺地域で発生する地震や三陸沖や東海沖・南海沖などの太平洋側沖合で発生するプレート境界付近の地震によっても被害を受けたことがあります。さらに、外国の地震によっても津波被害を受けることがあり、例えば、1960年の「チリ地震津波」では、県内に2〜3mの津波が襲来し、県内で死者1名などの被害が生じました。
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」では、県内で死者21名、行方不明者2名、負傷者258名、建物全壊801戸などの被害が生じました (平成27年1月9日現在、警察庁調べ)。
陸域で発生した被害地震としては、1987年の千葉県東方沖の地震(M6.7)が知られています。この地震は九十九里浜付近のやや深いところ(深さ58km)で発生したフィリピン海プレート内の地震で、県内に死者2名などの被害が生じました。また、佐原市(旧名、現在の香取市)付近の深さ30〜40km、銚子市付近の深さ40〜50km、千葉市付近の深さ60〜70kmでは、関東地方の下に沈み込んだフィリピン海プレートや太平洋プレートに関係する地震活動が定常的に活発です。最近数十年間では、M7程度の地震の発生は知られていませんが、1989年の千葉県北部の地震(M6.0)や2005年の千葉県北西部の地震(M6.0)のようにM6程度の地震は、数年に1回の割合で発生しており、局所的に若干の被害が生じたことがあります。
千葉県の主要な活断層は、房総半島南部に東西に延びる鴨川低地断層帯がありますが、この断層帯は活断層としての存在そのものも疑問視されている調査結果もあります。また、県内に被害を及ぼす可能性のある海溝型地震には、相模トラフ沿いで発生する地震があります。
県全域が、「首都直下地震緊急対策区域」に指定されています。
県内の沿岸部18市町村が、「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されています。また、3市町は「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」に指定されています。
【 千葉県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 】
【 千葉県に被害を及ぼした主な地震 】 【 リンク 】
○千葉県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 [上に戻る]
地震 | マグニチュード | 地震発生確率 (30年以内) 【地震発生確率値の留意点】 |
||
海溝型地震 | ||||
三 陸 沖 か ら 房 総 沖 |
東北地方太平洋沖型 | Mw8.4〜9.0 | ほぼ0% | |
三陸沖北部から房総沖 の海溝寄り |
津波地震 | Mt8.6−9.0前後 | 30%程度 (特定海域で7%程度) |
|
正断層型 | 8.2前後 Mt8.3前後 |
4%〜7% (特定海域で1%〜2%) |
||
福島県沖 | 7.4前後 (複数の地震が続発する) |
10%程度 | ||
茨城県沖 | 6.9〜7.6 | 70%程度 | ||
繰り返し発生する プレート間地震 |
6.7〜7.2 | 90%程度もしくはそれ以上 | ||
相模トラフ | 相模トラフ沿いのM8クラスの地震 | M8クラス (M7.9〜M8.6) |
ほぼ0%〜5% | |
プレートの沈み込みに伴うM7程度の地震 | M7程度 (M6.7〜M7.3) |
70%程度 | ||
南海トラフ | 南海トラフで発生する地震 | M8〜9クラス | 70%程度 | |
内陸の活断層で発生する地震 | ||||
深谷断層帯・綾瀬川断層 (関東平野北西縁断層帯・ 元荒川断層帯) |
深谷断層帯 | 7.9程度 | ほぼ0%〜0.1% | |
綾瀬川断層(鴻巣−伊奈区間) | 7.0程度 | ほぼ0% | ||
綾瀬川断層(伊奈−川口区間) | 7.0程度 | 不明 | ||
立川断層帯 | 7.4程度 | ほぼ0.5%〜2% | ||
鴨川低地断層帯 | 7.2程度以上 | 不明 | ||
三浦半島断層群 | 主部 (衣笠・北武断層帯) | 6.7程度 もしくはそれ以上 |
ほぼ0%〜3% | |
主部 (武山断層帯) | 6.6程度 もしくはそれ以上 |
6%〜11% | ||
南部 | 6.1程度 もしくはそれ以上 |
不明 |
○千葉県に被害を及ぼした主な地震 [上に戻る]
西暦(和暦) | 地域(名称) | M | 主な被害 |
818年 (弘仁9) |
関東諸国 | 7.5以上 | (相模、武蔵、下総、常陸、上野、下野などで被害。圧死者多数。) |
1605年2月3日 (慶長9) |
(慶長地震) | 7.9 | 山崩れ、津波により、死者多数。 |
1677年11月4日 (延宝5) |
磐城・常陸・安房・上総・下総 | 8.0 | 磐城から房総にかけて津波。房総で溺死者246人余、家屋全壊223棟余。 |
1703年12月31日 (元禄16) |
(元禄地震) | 7.9〜8.2 | 地震の揺れ、津波により甚大な被害。県南部を中心に死者6,534人、家屋全壊9,610棟。 |
1801年5月27日 (享和1) |
上総 | 不明 | 久留里城内で塀などの破損が多く民家も多く倒れた。 |
1854年12月23日 (安政1) |
(安政東海地震) | 8.4 | 安房地方、銚子で津波があり、名洗で漁船が転覆し、死者3。 |
1855年11月11日 (安政2) |
((安政)江戸地震) | 6.9 | 下総地方を中心に、死者20、家屋全壊82。 |
1922年4月26日 (大正11) |
浦賀水道 | 6.8 | 住家全壊8。 |
1923年9月1日 (大正12) |
(関東地震) | 7.9 | 死者・行方不明者1,342人、住家全31,186棟、住家焼失647棟、住家流出埋没71棟。 |
1960年5月23日 (昭和62) |
(チリ地震津波) | Mw9.5 | 死者1人。 |
1987年12月17日 (昭和62) |
千葉県東方沖 | 6.7 | 山武郡、長生郡、市原市を中心に被害。死者2人、負傷者144人、住家全壊16棟。 |
2005年2月16日 (平成17) |
茨城県南部 →【地震本部の評価】 |
5.4 | 負傷者7人。 |
2005年7月23日 (平成17) |
千葉県北西部 →【地震本部の評価】 |
6.0 | 負傷者8人。 |
2008年7月24日 (平成20) |
岩手県中部〔岩手県沿岸北部〕 →【地震本部の評価】 |
6.8 | 負傷者1人。 |
2008年5月8日 (平成20) |
茨城県沖 →【地震本部の評価】 |
7.0 | 負傷者2人。 |
2011年3月11日 (平成23) |
(平成23年(2011年) 東北地方太平洋沖地震) 【地震本部の評価】 →平成23年3月11日公表 →平成23年3月13日公表 →平成23年4月12日公表 →平成25年3月11日公表 →平成26年3月11日公表 →平成27年3月10日公表 |
9.0 | 死者21人、行方不明2人、負傷者258人、建物全壊801戸、建物半壊10,133戸 (平成27年3月11日現在、警察庁調べ)。 |
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