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  1. 地震・津波の提供情報
  2. コラム
  3. 情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト 第2回研究者・学生向けイベントを開催

(広報誌「地震本部ニュース」令和5年(2023年)秋号)

 近年、IoT、ビッグデータ、AIといった情報科学分野の科学技術・イノベーションは著しく進展し、地震分野においても情報科学分野の技術導入や連携が進みつつあります。令和元年5月に政府の地震調査研究推進本部で策定された、「地震調査研究の推進について―地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策(第3期)―」においても、我が国の地震調査研究が今後、新たな科学技術も活用しながら、防災・減災の観点から社会に対する更なる貢献をしていくことへの期待が示されたところです。

 このような背景を踏まえ、文部科学省では、情報科学の知見を採り入れた新たな地震調査研究を推進するため、令和3年度より、「情報科学を活用した地震調査研究プロジェクト(STAR-E(Seismology TowArdResearch innovation with data of Earthquake)プロジェクト)を開始しました。STAR-Eプロジェクトでは、大学や研究機関において5つの研究課題を進めることにより、革新的創造的な研究成果の創出のみならず、情報科学と地震学の両分野の研究者が参加する研究フォーラムの開催や情報交換プラットフォームの運営など、両分野の連携を促進する取組により、次世代を担う若手研究者の育成も含めた「情報科学×地震学」分野全体の発展を目指しております。

 本プロジェクトの一環として、2023年8月14日(月)~9月24日(日)にかけて、第2回研究者・学生向けイベント(地震・測地データ活用 アイデアコンテスト)を開催いたしました。合計16組(21名)の学生の申し込みがあり、アイデアを提出いただきました。最終審査会では1次審査を通過した年代・バックグラウンド等、様々な背景を持つ6名の参加者がオンラインにてアイデアの発表を行いました。

 本アイデアコンテストでは、審査員による情報科学×地震学をテーマにした以下の2つの講義の後、参加者の方からアイデアを提出をしていただきました。

 講義1の【ゼロからわかる情報科学×地震学】は地震学の中で具体的にどのような局面で情報科学が活用されているか、初歩からでもわかるようにかみ砕いた内容でした。また講義2の【地震・測地データをさわってみよう】では地震データを用いてデータ解析をする流れの説明の後、参加者の方にデータやアルゴリズムを提供し、実際にデータ解析を体験していただきました。

 9月24日(日)に開催した最終審査会(オンライン開催)では、審査の結果、以下の3つのアイデアが表彰を受けました。

アイデア名:ゆらゆら家具ら!~地震からおうちを守ろう~
受賞者:秋光大地・毛利未来(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻)
アイデアの概要:スマートフォンのセンサー類などを利用しながら、空間および家具類の配置ならびにその空間を認識し、地震発生時の家具類の挙動およびそれに付随するリスクを推測。地震発生に伴い、家具転倒のリスクが高い場合には、配置や形状に関する改善策(配置を変える、耐震マットやストッパーの導入等)を提案するアプリ。

アイデア名:機械学習と数値モデリングを用いたアウターライズ地震発生の物理的モデルの構築
受賞者:谷口悠貴・許智豪・萩原拓海(東北大学理学部)
アイデアの概要:機械学習の手法を用いて、各地域でのアウターライズ地震と海溝型地震の関連性、アウターライズ地震発生の経験則を導き、数値モデリングの手法を用いたアウターライズ地震発生の物理的モデルを構築。構築した物理的モデルに基づき、リアルタイム観測データを用いたアウターライズ地震の活動の定量的評価により高精度中長期予測を可能にし、将来の地震津波災害による被害の低減を目指す。

アイデア名:都市直下型地震の予兆をとらえるためのコンビニエンスストアの活用
受賞者:広浜倖悠(横浜市立みたけ台小学校)
アイデアの概要:設置交渉やメンテナンス、データ分析のしやすさを考慮し、都市にあるコンビニの各店舗に地殻変動をとらえるGNSS(GPS)観測装置を設置することにより、観測地点の間隔が狭くとれることで都市部の直下型地震(震度6以上想定)の前兆をとらえることができる。

北川 源四郎 氏(STAR-Eプロジェクトマネージャー)
内出 崇彦 氏(国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門 上級主任研究員)
加納 将行 氏(東北大学大学院理学研究科 地球物理学専攻 助教)
久保 久彦 氏(国立研究開発法人 防災科学技術研究所 地震津波火山ネットワークセンター 主任研究員)
長尾 大道 氏(東京大学地震研究所 計算地球科学研究センター、東京大学大学院 情報理工学系研究科 数理情報学専攻 准教授)
矢野 恵佑 氏(情報・システム研究機構 統計数理研究所 数理・推論研究系 准教授)

 最終審査会では小学生から大学院生まで、幅広い年代の学生に参加をいただきました。イベント終了後に実施したアンケート結果においても、全ての人が「とても満足した・やや満足した」、「情報科学×地震分野の学術研究や社会応用に対する関心や期待がとても高まっている」との回答でした。その他、「地震についての知識が深まった」、「若い参加者のアイデアを聞けて良かった」等の回答もいただきました。積極的にイベントにご参加いただいた皆様、ご協力をいただいた審査員の先生方には、心より感謝を申し上げます。文部科学省としては、STAR-E プロジェクトにおいて、今後もこうしたイベントへの参加を通して、より多くの方々に取組を知っていただけるよう、更に内容をブラッシュアップし、情報科学と地震学の連携を促進してまいります。

(広報誌「地震本部ニュース」令和5年(2023年)秋号)

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