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  1. 地震・津波の知識
  2. コラム
  3. 格段に制度を上げた津波警報システムの開発を(長谷川昭)

 今回の東日本大震災で、M9を想定できなかったことが被害を大きくした面は否定できない。地震学研究者として忸じく怩じ たる思いである。地震学は近年急速に進展したが、それでも、地震の予測については、役立つレベルに達するにはまだまだであることを思い知らされた。
 これから発生する地震の予測は難しいが、地震発生後にそれがどのような地震であったかをそれほど時間を置かずに把握することは、地震学の進展によりかなりできるようになった。1995年兵庫県南部地震後に策定された「総合基本施策」で、「地震情報の早期伝達」が「全国地震動予測地図の作成」とともに、当面推進すべき課題として取り上げられた。地震発生直後に震源近くで観測した情報を、まだ地震波が到達していない地域に早期に伝達できれば、被害軽減に役立てられるからである。そして地震本部のプロジェクトとして、地震情報の早期伝達システムの開発が組織的に行われてきた。それは、現在気象庁から発表されるまでになった「緊急地震速報」として結実した。今回のような巨大地震に対応できていないなど、まだまだ改良すべき余地が多々あるものの、それなりに開発が進んできた。 精度向上を目指して、関係者の一層の努力を期待したい。
 総合基本施策で推進すべきものとして取り上げた地震情報の早期伝達には、もう一つ、「津波情報の早期伝達」が含まれていた。しかしながら、予算上の制約から、緊急地震速報ほどには開発を進めることができなかった。今回の津波による悲惨な災害を思うと、誠に残念である。わが国の津波警報は、世界でもトップクラスの精度を誇る。しかしながら、如何せん、陸上の地震計網で得られた地震波データのみを用いて予測するものであり、精度には自ずと限界がある。緊急地震速報の原理と同じように、波源域に近い沖合で津波そのものを観測し、その情報を早期に伝達すれば、格段に精度が上がる。今度こそ、沖合にケーブル式の地震津波観測網を展開し、津波警報の精度を格段に上げたシステムの開発を期待したい。陸上の地震計網、さらにはGPS観測網をも同時に活用しながらの警報システムの開発であることはもちろんである。

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