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  1. 地震・津波の知識
  2. コラム
  3. 防災科研の仕事2


 前回(9月号)では独立行政法人防災科学技術研究所の沿革および組織についてご紹介し、地震災害関係の研究としては主な取り組みのひとつ「基盤的地震観測網」についてご紹介しました。今号ではその他の取り組みについてご紹介します。


〈地震ハザードステーション J-SHIS〉
 阪神・淡路大震災を契機として、政府の地震調査研究推進本部では、全国の活断層で発生する地震や海溝型地震などの発生確率の評価を行い、これに各地の地盤情報を加味して、予想される強震動の分布を示した「全国地震動予測地図」を公表してきました。この「全国地震動予測地図」には、多くの防災科研の成果が活用されています。防災科研では、この「全国地震動予測地図」に関する以下の情報を、背景地図と重ね合わせてウェブ上で閲覧することができるシステム(J-SHIS)を開発し、公開しています。
 1)約250mメッシュの全国版「確率論的地震動予測地図」(図1
 2)主要断層帯で発生する地震に対する詳細な強震動予測に基づく「震源断層を特定した地震動予測地図(想定地震地図)」
 3)以上の計算に用いた表層地盤増幅率や深部地盤モデル等
 J-SHIS は、地震ハザード情報の総合ポータルサイトとも言えるものであり、防災訓練や地域の防災計画の検討など、さまざまな状況で利用されています。なお、これまでJ-SHISでは津波に関する情報は取り扱っていませんでしたが、津波ハザードも加えた総合ポータルサイトを構築することは今後の重要な課題であると考えられます。

〈緊急地震速報への貢献〉
 防災科研は、地震の震源を観測データから直ちに推定できる「着未着法」という画期的な手法を開発しました。この成果は、気象庁と共同で開発した緊急地震速報システムにも活用されています。緊急地震速報は、2007年10月1日から提供が開始され、大きな揺れが到達する前に地震の発生を知らせることによって、さまざまな防災対応をとることが可能になりました。
この緊急地震速報には、防災科研の高感度地震観測網Hi-net(約800点)のデータが大いに活用されています。東日本大震災やその後の余震でも、気象庁から多くの緊急地震速報が発報されましたが、その精度向上や巨大地震への対応は今後の課題として残されており、防災科研でも継続して研究を続けていきます。

〈実大三次元震動破壊実験施設(E−ディフェンス)〉
 阪神・淡路大震災を契機として、防災科研は各種の建築・土木構造物の耐震設計法や耐震補強工法の妥当性の検証を、「小さな模型でなく実物大の大きさで」「実際の地震と同じ三次元方向の揺れで」「破壊に至るまで」を行うことを目的に、E−ディフェンスを計画・整備してきました。本施設は、サイズ20m×15mの世界最大の震動台であり、最大1,200tonfの試験体を載せて、1995年兵庫県南部地震クラスの地震動を再現して加震することが可能です(図2、3)。兵庫県三木市にある三木総合防災公園内に建設され、2005年3 月の完成後、木造建物、鉄筋コンクリート構造物、
鉄骨建物、地盤基礎構造など各種の実験が実施され、破壊データの取得、耐震補強効果の検証、学会指針改定や解析技術の高度化へのデータ提供、耐震改修促進への貢献、防災教育に関する資料提供等、多くの成果を上げています。東日本大震災では、継続時間の非常に長い地震波が観測されました。そのような継続時間の長さが構造物に与える影響の解明も、今後の課題として取り組んでいく必要が
あると考えています。

〈e コミュニティ・プラットフォーム2.0〉
 これからの地域社会では、さまざまな団体やグループが協働して、地域を自治または運営していくことが求められます。そのためには、それぞれの団体やグループが持つ情報や技術などを活用しながら、地域の諸問題を解決するためのコミュニケーションが必要不可欠です。災害時の対応の検討や日頃の防災活動においても、相互のコミュニケーションは欠かせません。防災科研では、これらを支えるインターネット上の情報基盤として「eコミュニティ・プラットフォーム2.0」(通称eコミ)を開発しています。e コミは、グループウェアと地図(eコミマップ)で構成されており、東日本大震災の復旧・復興支援にも貢献しています(図4、5
 なお、以上ご紹介した取り組みのより詳細な内容については、防災科研のWeb ページをご参照ください(http://www.bosai.go.jp)。





 日本に暮らす以上、われわれは地震や津波と向き合って共存してゆかねばならない宿命に置かれています。平成23年3月に発生した東日本大震災は、その宿命と科学技術の限界を痛感させるものでした。われわれは本大震災の経験をさらに検証し、最先端の科学技術を用いて、自然災害から国民の生命と財産を守るための研究活動を続けてまいります。関係の皆様方には、どうぞご支援とご指導をお願いいたします。

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