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  1. 地震・津波の知識
  2. コラム
  3. 首都直下プロ4応急対策から復旧・復興対策までを包括的にとらえ、被害の軽減をめざす



 文部科学省委託業務「首都直下地震防災・減災特別プロジェクト(2007年−2011年)の一環である、サブプロジェクト③「広域的危機管理・減災体制研究」では、首都直下地震を、首都圏を現場とする全国的な危機としてとらえ、日本全国の防災研究者の英知を集め、災害発生後に行われる応急対 策から復旧・復興対策までを包括的にとらえて、被害の「軽減化」方策を検討しています。
 本研究では、「危機対応能力」、「生活再建能力」を向上させるための方策の検討、個別方策を総合的にマネジメントする「情報プラットフォーム」の 構築、さらには全ての研究成果を災害対応従事者、地域住民・企業へと還元し「地域抵抗力・回復力」の向上を図る「社会的な研修・訓練システム」を確立するための手法の構築を行い、首都直下地震の影響を受けると予想される最大2,500万人の被災者の生活再建方策の確立をめざしています。

 首都直下地震の最悪シナリオであるM7.3の東京湾北部地震が発生した場合、中央防災会議の予想では、1.2万人が死亡し、112兆円に及ぶ被害が発生すると推定されています。震度6弱以上の地域は東京都だけでなく、千葉県、埼玉県、神奈川県にも広がり(図1)、我が国の人口の20%にあたる2,500万人という膨大な被災者が発生(表1)します。
 我が国が体験したことがない未曽有な規模のこの震災に対して、地震発生直後の応急対応から、長期的な視野で行われる復旧・復興までにわたる包括 的な災害対応を効果的に実施する必要があります。しかし、現在の災害対応は発災直後の数日間の応急対応に関心が集中しており、その後に必要となる 災害対応業務の全体像が見えていない状況にあります(図2)。
 そこで本研究では、研究メンバー全員が参加する全体ワークショップをこれまで3回開催し、首都直下地震が生む問題の全体構造の解明を行ってきま した。その結果、首都直下地震災害を「都心」「下町」「山の手」という3つの異なる特性を持つ地域が同時被災するととらえることが有効であり、先例 とすべき災害事例の存在も明らかになりました。首都中枢機能の維持が問題となる「都心」では、2001年の同時多発テロの対象となったマンハッタン の対応から多くを学ぶことができます。
臨海部のゼロメートル地帯が長期湛水によって機能停止する危険がある「下町」については、2005年のハリケーンカトリーナによるニューオーリンズ が参考になります。広域にわたる延焼火災が懸念される「山の手」の場合は、1906年のサンフランシスコ地震や1991年のオークランド大火が教訓となります。
 こうした教訓を交えながら、首都直下地震の発生によって必要となるさまざまな災害対応課題について、効果的な災害対応業務を遂行するためのプロセスを明らかにしています。図3は避難所の運営に関する問題構造を解明した例です。




 首都直下地震の問題構造を明らかにするとともに、効果的な災害対応を実現するための方策に関して以下の3つの研究課題を設定しています。

1)効果的な行政対応態勢の確立 (京都大学防災研究所・富士常葉大学・首都大学東京)
 地震発生直後の応急対応から、長期的な視野で行われる復旧・復興までにわたる包括的な災害対応を関連する地方自治体が連携して実施する必要があります。そのときに不可欠となる「効果的な行政対応態勢の確立」について、a)一元的な危機管理対応体制の確立、b)地域・生活再建過程の最適化に関する研究、c)効果的な研修・訓練システムの確立の3つの側面から研究しています。

2)広域的情報共有と応援体制の確立 (東京大学生産技術研究所)
 効果的な災害対応を実現するためには、首都圏内外の防災関係機関や報道機関、企業など、数多くの機関による広域連携が不可欠であり、その前提として情報の共有化が必須条件です。しかし、災害情報や情報システムの標準化が行われていないため、現状では情報の共有化は容易ではなく、これが広域連携にとって大きな障害となっています。本研究では、広域連携のために必要不可欠な情報共有の基盤として、事前、準備、対応、復旧・復興過程に対応できる情報共有プラットフォームを構築した上で、広域連携による応援体制を構築し、広域的危機管理・減災対策の検証を目的としています。

3)相互に連関したライフラインの復旧最適化に関する研究 (千葉大学)
 地震によるライフラインの被害波及と復旧過程を記述・解析するモデルを構築することによって、都市機能の防護戦略を策定し、安全で迅速な機能過程の実現と地域防災力の向上を図ることを目的とした研究も行っています。本研究では、「広域連携」、「復旧調整」、「自律分散」という相互補完的な対策をベストミックスし、社会的インパクトを最小化するための復旧戦略を提案します。


 本研究の成果は具体的な対策として生かされなければ意味がありません。そこで、本研究では首都圏の自治体と協働して「8都県市首都直下地震対策研究協議会」を設立し、各チームの研究成果を研究者間および8都県市の防災担当実務者と共有し、その有効性を吟味するための研究会を毎月開催しています。そして、それらの成果の集大成として、「首都直下地震防災対策の総合戦略」を提案したいと考えています。

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