地震調査研究推進本部


トップ中国・四国地方>広島県

広島県

 広島県に被害を及ぼす地震は、主に陸域の浅い場所で発生する地震と、安芸(あき)灘周辺などの瀬戸内海西部のやや深い場所で発生する地震と、南海トラフ沿いで発生する地震です。

   広島県とその周辺の主な被害地震   (図をクリックすると拡大表示)
広島県とその周辺の主な被害地震  陸域の浅い場所で発生した被害地震としては、県北部の三次(みよし)付近で発生した地震が知られています。1919年のM5.8の地震や1930年のM6.1の地震、最近では2011年のM5.4の地震で、局所的に家屋や石垣などへの小被害が生じました。また、県内の活断層で発生した被害地震は歴史上知られていません。さらに、島根県石見(いわみ)地方の浅い場所で発生した地震(1872年の浜田地震(M7.1)など)のように周辺地域で発生した地震によっても被害を受けたことがあります。
 歴史の資料によると、安芸灘周辺では、以下のように「芸予地震」と呼ばれるやや深い地震が約50年に1回程度の頻度で繰り返し発生しています。例えば、1649年のM7.0の地震、1686年のM7.2の地震や1857年のM7.3の地震などが知られています。これらの地震は、フィリピン海プレートの沈み込みに伴い発生したやや深い地震と考えられています。やや深い地震の場合、規模の大きさに対して被害が少し小さくなる傾向にあります。明治以降では、1905年の芸予地震(M7 1/4)は、発生した深さが50km前後で、県内の海岸沿い、特に埋立地で大きな被害が生じました。また、安芸灘において、1949年のM6.2の地震が深さ約25kmで発生しており、呉で死者2名などの被害が生じました。最近では、「平成13年(2001年)芸予地震」(M6.7)も深さ約50km付近で発生し、県内の広い範囲で斜面崩壊などの被害が生じました。なお、遠く宮崎県西部における深い地震(1909年、M7.6、深さは約150kmと推定)でも、県内で小被害が生じました。最近では、2006年の大分県西部の地震(M6.7、深さ約150km)で、県内でも小被害が生じました。
 広島県では、南海トラフ沿いで発生した巨大地震で、強い揺れによる被害を受けることがあり、1946年の南海地震(M8.0)で、住家等に被害が生じました。また、1707年宝永地震による津波は瀬戸内海にも及び、沿岸部の塩田や水田に被害が及びました。
 広島県の主要な活断層には、広島県の南西部に延びる五日市(いつかいち)断層帯と、県西部の大竹市から山口県東部を通り周防(すおう)灘まで延びる岩国(いわくに)断層帯、広島湾から安芸灘に分布する安芸灘断層群があります。
 また、県内に被害を及ぼす可能性のある海溝型地震には、安芸灘〜伊予灘〜豊後(ぶんご)水道のプレート内地震及び南海地震があります。
 広島市周辺や福山市周辺は、やや軟弱な地盤の影響で、地震が発生したときには、周辺の地域に比べて揺れが大きくなる可能性があります。
 県内の瀬戸内海沿岸の18市町は、南海トラフの地震で著しい地震災害が生じるおそれがあり、「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定されています。

  【 広島県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震 】
  【 広島県に被害を及ぼした主な地震 】  【 リンク 】

○広島県周辺の主要活断層帯と海溝で起こる地震  [上に戻る]

地震 マグニチュード 地震発生確率
(30年以内)

【地震発生確率値の留意点】
海溝型地震
南海トラフ 南海トラフで発生する地震 8〜9クラス 70%程度
日向灘および
南西諸島海溝
周辺
安芸灘〜伊予灘〜豊後水道 6.7〜7.4 40%程度
内陸の活断層で発生する地震
中央構造線断層帯 金剛山地東縁 6.9程度 ほぼ0%〜5%
和泉山脈南縁 7.6−7.7程度 0.07%〜14%
紀淡海峡−鳴門海峡 7.6−7.7程度 0.005%〜1%
讃岐山脈南縁−石鎚山脈北縁東部 8.0程度 ほぼ0%〜0.4%
石鎚山脈北縁 7.3〜8.0程度 ほぼ0%〜0.4%
石鎚山脈北縁西部−伊予灘 8.0程度
もしくはそれ以上
ほぼ0%〜0.4%
五日市断層帯 五日市断層 7.0程度 不明
己斐−広島西縁断層帯 6.5程度 不明
岩国断層帯 7.6程度 0.03%〜2%
安芸灘断層群 主部 7.0程度 0.1%〜10%
広島湾−岩国沖断層帯 7.4程度 不明
  (算定基準日: 2015年1月1日)


○広島県に被害を及ぼした主な地震  [上に戻る]

西暦(和暦) 地域(名称) 主な被害(括弧は全国での被害)
1649年3月17日
(慶安2)
安芸・伊予 7.0 広島では家屋全壊あり。
1686年1月4日
(貞享2)
安芸・伊予 7.2 広島県中部で被害大。死者2人、家屋破損147棟。宮嶋、三原などで被害。
1707年10月28日
(宝永4)
(宝永地震) 8.6 広島県内でも家屋倒壊や、津波による海岸近くの浸水被害が生じた。
1854年12月24日
(安政元)
(安政南海地震) 8.4 (安政東海地震の32時間後に発生。二つの地震の被害や、津波被害と区別困難。)
1857年10月12日
(安政4)
伊予・安芸 7.3 (今治で城内破損、郷町で死者1人、家屋倒壊3棟。宇和島・松山・広島などで被害。郡中で死者4人。)
1872年3月14日
(明治5)
(浜田地震) 7.1 負傷者3人、家屋全壊20棟。
1905年6月2日
(明治38)
(芸予地震) 7.2 死者11人、負傷者160人、家屋(含非住家)全壊56棟。
1946年12月21日
(昭和21)
(南海地震) 8.0 負傷者3人、住家全壊19棟。
1949年7月12日
(昭和24)
安芸灘 6.2 呉で死者2人。下松市で負傷者2人。
2000年10月6日
(平成12)
(平成12年(2000年)
鳥取県西部地震)
→【地震本部の評価】
7.3 負傷者3人。
2001年3月24日
(平成13)
(平成13年(2001年)
芸予地震)
→【地震本部の評価】
6.7 死者1人、負傷者193人、家屋全壊65棟。


○リンク  [上に戻る]

 地震動予測地図等

 活断層評価等

 地震活動等

 地方自治体等



上に戻る
「中国・四国地方」に戻る


Copyright © the Headquarters for Earthquake Research Promotion , All rights Reserved.