平成13年3月25日 |
地震調査研究推進本部 |
地震調査委員会 |
安芸灘の地震活動の評価
○ 3月24日15時28分頃に安芸灘の深さ約50kmでマグニチュード(M)6.4(暫定)の地震が発生し、広島県南部の一部の地域で最大震度6弱を観測した。この地震の発生に伴って死者を含む被害が発生している。これまでの地震活動は、時間とともに低下してきており、その時間的推移から見てM6.4(暫定)の地震を本震とする本震−余震型である。
発震機構は、東西方向に張力軸を持つ正断層型である。余震発生域は、概ね南北に20km余りにわたっており、深さは40kmから50kmに分布している。これらのことから、南北走向の断層が動いたと考えられる。なお、余震域の拡がりはマグニチュードの大きさと概ね整合している。
今回の本震の震源は、四国の南約100kmにある南海トラフから北西に向けて沈み込むフィリピン海プレート内の、地震活動が活発な地域の北端付近に当たる。また、同プレートは、今回の本震の震源付近では、西(九州)に向けて傾斜が急になる。
これらのことから、今回の地震は、西に向けて引っ張られ、かつ曲げられたフィリピン海プレート内部が破壊して起こったものと考えられる。
○ この付近のGPS観測の結果では、本震の発生に伴って、震央の北側では南向きの、南側では北向きの水平地殻変動が観測されており、今回の地震の発震機構に整合している。
○ 今回の余震活動は、その発生頻度は全体的に低調であるが、大きめの余震の発生の割合が標準的なものより大きい傾向がある。過去の事例によると、安芸灘付近では、1905年に、芸予地震と呼ばれるM7.3の地震、1949年にM6.2の地震が発生している。このうち、1905年の地震では、M6.0を超える余震(最大は本震の6ヶ月後のM6.2)が3回発生している。
今後、M5程度の余震が発生した場合、広島県を中心にして震度4程度となる。
○ なお、沈み込むプレート内に発生する地震活動について調査研究の推進が必要である。