今後の地震動ハザード評価に関する検討
~2011年・2012年における検討結果~
地震調査研究推進本部(以下、地震本部という)は、平成17年3月に「全国を概観した地震動予測地図」を公表して以来、毎年、評価の改訂を行い結果を公表してきた。その後、平成21年7月に全面的な改訂を行い、名称を「全国地震動予測地図」に変更して新たな公表を行った。この全国地震動予測地図に対しても毎年の改訂が行われる予定であり、翌平成22年5月には全国地震動予測地図2010年版を公表した。平成23年も全国地震動予測地図2011年版を公表する予定であったが、同年3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生し、津波や地震動などにより東日本大震災が生ずるに至り、この公表は見送られた。
公表が見送られたもうひとつの理由として、東北地方太平洋沖地震を契機として、全国地震動予測地図について解決すべき多くの課題が指摘されたことが挙げられる。そのため、地震調査委員会では、強震動評価部会や地震動予測地図高度化ワーキンググループが中心となって、それらの課題の検討が地震発生直後から始められている。しかし、課題は地震動ハザード評価の本質にかかわるものであるので、その解決には長い時間が必要であり、現在も検討が継続中である。そこで、地震本部としては現時点での検討結果を公表することとし、ここに2011年・2012年における検討結果を報告する。
本検討は確率論的地震動ハザード評価を対象とした。まず、「1.従来の地震動ハザード評価の課題」の検討を行い、その後、「2.今後の地震動ハザード評価に向けた検討」を行った。また、これらの検討に資するために、従来の方法により仮に作成された全国地震動予測地図2012年版を付録として添付した。
以下から、『「今後の地震動ハザード評価に関する検討~2011年・2012年における検討結果~」の公表について』および「本編」、「付録」の各冊子(PDF形式) 、また、参考資料をダウンロードすることができます。
地図を詳細に拡大すると、一部で変形したメッシュの見える場合がありますが、ファイル変換の作業上のものであり、ご了承願います。 なお、独立行政法人防災科学技術研究所ホームページの地震ハザードステーション(Japan Seismic Hazard Information Station、略称:J-SHIS)では、そのような支障なく、各種地図が閲覧できますので合わせてご利用ください(各種数値データ等のダウンロードも可能です)。
「今後の地震動ハザード評価に関する検討~2011年・2012年における検討結果~」の公表について
本編
- 表紙(1ページ)(196 KB)
- 1. 従来の地震動ハザード評価の課題(2~4ページ)(470 KB)
- 1.1 東北地方太平洋沖地震を契機に指摘された課題
- 1.2 課題の原因について
- 2. 今後の地震動ハザード評価に向けた検討(5~29ページ)(3,852 KB)
- 2.1 手法の有効性に関する検討
- 2.2 震源断層を特定できなかった地震の問題の検討
- 2.3 「震源断層をあらかじめ特定しにくい地震」のモデル化の検討
- 2.4 表現方法の問題の検討
- 3.まとめと議論(30~31ページ)(189 KB)
- 出典(32ページ)(186 KB)
- 本編の一括ダウンロード(4,110 KB)
付録
- 目次(33~34ページ)(180 KB)
- 確率論的地震動予測地図
- 長期評価の経緯と確率論的地震動予測地図の作成条件(35~52ページ)(2,061 KB)
- 今後30年間の確率(平均ケース・全地震)(53ページ)(274 KB)
- 今後30年間の確率(平均ケース・地震カテゴリー別))(54~56ページ)(585 KB)
- 震源断層を特定した地震動予測地図
- 長期評価の経緯と震源断層を特定した地震動予測地図の作成条件(57~59ページ)(496 KB)
- 石狩低地東縁断層帯主部(レシピ通りの地震モーメント)(60~61ページ)(2,400 KB)
- 石狩低地東縁断層帯主部(面積が重なった分の地震モーメントを小さくする)(62~63ページ)(2,107 KB)
- 石狩低地東縁断層帯南部(64~65ページ)(1,444 KB)
- 新庄盆地断層帯東部(66~67ページ)(431 KB)
- 新庄盆地断層帯西部(68~69ページ)(592 KB)
- 中央構造線断層帯金剛山地東縁区間(70~71ページ)(658 KB)
- 中央構造線断層帯和泉山脈南縁区間(72~73ページ)(1,221 KB)
- 宮古島断層帯中部(74~75ページ)(701 KB)
- 宮古島断層帯西部(76~77ページ)(370 KB)
- 付録の一括ダウンロード(10,161 KB)
参考資料
- 都道府県庁所在地の市役所(東京は都庁)及び北海道の総合振興局・振興局庁舎付近(庁舎位置を含むメッシュの中心位置)において、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(平均ケース)(73 KB)
- ※ 本書における地震発生確率と地震動超過確率は、2012年1月1日時点の評価値である。
- ※ 本書に掲載した地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図25000(空間データ基盤)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、第485号)
- ※ 本書では、日本測地系を使用した。
- ※ 本書に示した行政界は、2012年1月1日時点のものである。
- ※ 日本領土のうち、南鳥島と沖ノ鳥島では、計算に必要なデータが整備されていないため、地図を作成していない。
- ※ 確率論的地震動予測地図の作成に必要な地震発生確率を計算する際に、主要活断層帯の「平均活動間隔」や「最新活動時期」が用いられるが、それらの評価結果に幅がある場合が多いため、主要活断層帯については両者の中央の値を代表値として地震発生確率を計算する「平均ケース」に加えて、評価された確率の最大値を用いる「最大ケース」を考え、両ケースの地図を作成した。活断層はカテゴリーⅢに含まれるので、「最大ケース」のカテゴリー別の地図はカテゴリーⅢの地図のみ(カテゴリーⅠとⅡの地図では「平均ケース」と同じ)となる。
- ※ 震源断層を特定した地震動予測地図(シナリオ地図)は、2010年1月~2011 年12月に公表された主要活断層帯に関する長期評価のうち、評価の一部改訂により断層の位置・形状に変更があったもの及び新規に公表された、合計4断層帯について掲載されている。その他は2009年版の別冊2あるいは2010年版の地図編に掲載されている。
- ※ 三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価(第二版)の内容を可能な限り反映させた。
- ※ 長期評価の改訂を反映させた確率論的地震動予測地図の時間軸の起点は、2012年1月とした。
- ※ 三陸沖北部から房総沖「以外の」海溝型地震の地震活動モデルは、従来のものから変更していない(1年間時間経過した分だけの確率値の更新のみ反映)。
- ※ 主要活断層帯の地震活動モデルは、2011年12月までに公表された改訂のみ反映することとし、東北地方太平洋沖地震による地殻変動に伴う活動性の変化は考慮してない(時間経過分だけの確率値の更新のみ反映)。
- ※ 主要活断層帯以外のその他の活断層のモデルは、従来のものから変更していない。
- ※ 震源断層をあらかじめ特定しにくい地震の評価に用いる震源データは、2009年末までのものとした。震源断層をあらかじめ特定しにくい地震の最大マグニチュードの値は、東北地方太平洋沖地震の影響を受けている太平洋プレートの領域を除き、従来のものから変更していない。
- ※ 地震動評価のモデルは従来のものから変更していない。
- ※ 地震調査研究推進本部では想定東海地震、東南海地震、宮城県沖地震を対象とした「長周期地震動予測地図2010年試作版」、南海地震(昭和型)を対象とした「長周期地震動予測地図2012年試作版」を公表している。その成果も併せて御覧頂きたい。
これまでに公表しました「全国地震動予測地図 (全国を概観した地震動予測地図)」については、以下からご覧ください。