平成8年10月24日 |
地震調査研究推進本部 |
地震調査委員会 |
10月15日21時過ぎから伊豆半島東方沖で群発地震活動が始まり、初期 には消長を繰り返しながら活発に続いたが、その後次第に低下してきている。
主たる震源域は、昨年9〜10月の活動域の北西に隣接し、汐吹崎の北沖合 い2kmを中心とする東西4km程度、深さ4〜8km程度である。活動開始以 降、主たる震源域の位置に大きな変化は見られない。この震源域の西方の内陸浅 部にも地震活動が散在している。18日 頃から主たる震源域の活動が次第に低 下するとともに、内陸浅部の地震活動の分布域が拡大した。地震回数は、24日 15時までに5,762回、内有感地震は42回であり、現在までの最大は、1 6日22時58分のM4.1である。
この群発地震活動に伴い周辺の体積歪計、傾斜計、GPS、地下水の観測値 に変動が記録されていたが、次第に鈍化し、現在はほとんど地震活動開始以前の 傾向に戻っている。昨年9〜10月の地震活動は、活発な期間が10日間程度、 地震回数が10日間で9,436回、最大M4.8であった。この時の震源域は ごく浅いところから深さ10km程度まで東に向かって深くなるような分布であ ったが、深さ4〜8kmにやや不活発な所があり、今回の地震活動はそこを埋め るように集中して発生している。また、地殻変動は昨年9〜10月の活動に比べ て概して小さめであるが、やや広範囲におよんでいる。
今回のこれまでの地震活動・地殻変動状況及び過去のこの地域の地震活動の例 から総合的に判断すると、今後有感地震の発生等若干の消長があるかもしれない が、今回の群発地震活動は終息に向かう可能性が高いと考えられる。
付図