平成8年2月7日 |
地震調査研究推進本部 |
地震調査委員会
|
糸魚川−静岡構造線活断層系については、昭和60年前後から各地でトレンチ調 査が行われてきた(図1)。平成6〜7年度は、白馬(白馬村堀之内)、大町 (大町市三日町)、小淵沢(小淵沢町松木平)、櫛形(櫛形町上宮地)の4地点 で調査が行われた。
平成6〜7年度のトレンチ調査結果は以下のとおりである。
以上のトレンチ結果から、糸魚川−静岡構造線活断層系の活動履歴は図5のよ うにまとめられる。大町、松本及び茅野における最も新しい活動は、今から1200 年前頃を中心とする時期に集中している。白馬と小淵沢についても、この時期に 最新活動があったと考えて矛盾はない。
現時点で知られている歴史文書の範囲では、本活断層系周辺で発生したと推定 される室町時代以前の歴史地震には、西暦 762年の美濃・飛騨・信濃の地震と同 841年の松本付近の地震がある。従って、糸魚川−静岡構造線活断層系の中〜北 部の最新活動は、これら2つの地震、あるいはそのいずれかに対応する可能性が 考えられる。
付図 1 糸魚川−静岡構造線活断層系の概要とトレンチ地点 2 白馬(神城断層)及び大町(松本盆地東縁断層)のトレンチ壁面 3 小渕沢(下蔦木断層)のトレンチ壁面と各トレンチ結果による地震発生時期