平成8年8月15日 |
地震調査研究推進本部 |
地震調査委員会 |
秋田・宮城県境で、8月11日3時12分にM5.9、3時54分にM5.4
、8時10分にM5.7の地震が発生し、震源付近の栗駒町沼倉で震度5を観測
した。前震活動は認められなかった。地震活動は、初期には非常に活発だったが
、次第に低下して、現在に至っている。この間、11日20時48分のM4.8
、13日11時13分のM5.0等やや大きな地震が時々発生し、それらに伴っ
て地震が一時的に増加した。
周辺のGPS連続観測では、地震の前後に若干の変化が認められた。
今回の地震活動の震源は、宮城・秋田・山形の3県にまたがる南北約20km
の地域に分布しており、深さは、5〜15km程度である。詳しく見ると、震源
分布は、南北約10kmに並ぶ列(以下、「中心列」と呼ぶ。)と、そこから南東
、南西等に枝分かれした列状になっている。最初のM5.9とM5.4の地震は中
心列の北部に位置し、8時10分のM5.7の地震は中心列から東に約3km離れ
た場所で発生し、また13日のM5.0の地震は中心列から南西に約5km離れた
所で発生した。地震波の解析によれば、これら4つの地震のもととなった地中の
断層運動は、最初の2つが逆断層型、後の2つが横ずれ断層型で、原因となった
圧縮力の方向はいずれも東西方向であった。この圧縮力の方向は、この地域一帯
では一般的な方向であり、地震列の分布方向もこれと整合する。今回の地震活動
は、東西圧縮力のもとで中心列及びその周辺で次々と地震活動が起こったと解釈
できる。
地震回数は、増減あるもののほぼ規則的に減少を続けている。その減衰の速
さは全国の平均的な例とほぼ同じであり、概ね本震−余震型の経過をたどってい
る。
以上のことから、今回の地震活動は、今後M5クラスの地震の発生の可能性
はあるものの、大局的には次第に減衰していくと考えられる。
図1秋田・宮城県境付近の地震活動(1996/8/11-8/11 17:00)
図4秋田・宮城県境付近の地震活動(1996/8/11-8/15 09:00)
図5秋田・宮城県境付近の地震活動(1996/4/1-8/11 11:00)
図6秋田・宮城県境付近の地震活動(1980/1/1-1996/8/10)
図7秋田・宮城県境付近の地震活動(1926-1996/8/10 M4.5以上)
図9山形白鷹における時間別地震回数と改良大森公式によるあてはめ