平成8年1月10日 |
地震調査研究推進本部 |
地震調査委員会 |
1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震からほぼ1年が経過し、余
震活動は順調に減少してきた。
M5前後の余震は、本震直後約3時間以内に5回、1月25日M5.1、2
月18日M4.8、10月14日M4.8であり、以後現在まで発生していない。
最大余震は本震から約2時間後のM5.4であった。余震活動は順調に減衰して
おり、過去の事例によれば今後M6級の余震が震源域に起こる可能性は小さいと
考えられる。なお、過去の日本の規模の大きい内陸地震の例を統計的に見ると、
地震後数年ほどの間に震源域の周辺でやや大きい地震が起こった例がある。
震源域の北東延長上の丹波地域では、兵庫県南部地震以前に比べ、数倍地震
回数が増加した。また、山崎断層に沿う地域でも増加した。しかし、これら2つ
の地域の地震活動は兵庫県南部地震直後に比べて、次第に発生回数が減少してい
る。その他の周辺地域では特に地震活動に変化は見られなかった。
兵庫県南部地震の震源域及びその周辺の活断層のうち、野島断層、東浦断層 及び有馬−高槻構造線について、現在までに得られた調査結果は以下の通りである。
(1) 野島断層
1995年兵庫県南部地震時に活動した活断層である。トレンチ調査による と、1995年の活動の前には、今から約2000年前にも活動したことが分か った。
(2) 東浦断層
淡路島の東岸に分布する活断層であり、1995年兵庫県南部地震時には活 動しなかった。トレンチ調査によれば、この断層は室町時代以降に活動したと考 えられる。
(3) 有馬−高槻構造線
1995年兵庫県南部地震の震源域の北東に位置する活断層であり、199
5年兵庫県南部地震時には活動しなかった。トレンチ調査によれば、この活断層のもっとも新しい活動の時期は、安土桃山時代以降、江戸時代初頭までの間であると考えられる。
以上のことと、歴史資料及び考古資料によれば、東浦断層及び有馬−高槻構
造線の最新の活動は、京都から大阪、神戸地域に大きな被害をもたらした1596年の慶長伏見地震であった可能性がある。
付図