平成16年5月21日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


三陸沖北部の地震を想定した強震動評価について


地震調査研究推進本部は、「地震調査研究の推進について−地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策−」(平成11年)において、「全国を概観した地震動予測地図」の作成を当面推進すべき地震調査研究の主要な課題とし、このため、強震動予測手法の高度化を推進することを項目の一つとして挙げた。

これを受け、地震調査委員会は、「全国を概観した地震動予測地図」の作成を念頭におきつつ、強震動の評価手法として「詳細法」1について検討するとともに、それを用いた強震動の評価を行うこととしている。地震調査委員会強震動評価部会はその一環として、海溝型地震に適用する強震動予測手法について検討を進め、その成果は、「南海トラフの地震を想定した強震動評価手法について(中間報告)」(地震調査委員会強震動評価部会,2001)、「宮城県沖地震を想定した強震動評価」(地震調査委員会,2003a)として公表した。今回は、三陸沖北部の地震について、「海溝型地震の強震動評価のレシピ」2に基づいた強震動評価を実施したので以下に報告する。

なお、今回行った「詳細法」における工学的基盤までの強震動評価は、現在までに得られている知見を総合し、最適な手法を用いて行ったものである。浅層地盤の影響評価については、利用できるデータが限られているため簡便な手法を用いた。地震動の計算に用いる地下構造や微視的震源パラメータの精度良い推定には限界があることから、評価結果である地震動の数値は誤差を含んでいる。個別地域の防災対策の検討を行うにあたっては、この点に留意するとともに、地域の詳細な浅層地盤データに基づいてその影響を別途考慮する必要がある。


1断層破壊過程や地下構造の固有の性質を数多くのパラメータを用いて詳細にモデル化し、地震動の時刻歴波形を計算する地震動予測手法。説明文参照。
2強震動評価において、震源特性、地下構造モデル、強震動計算方法、予測結果の検証の手法や設定にあたっての考え方をまとめたものをここでは「レシピ」と呼ぶ。

評価文 (pdf 108KB)


説明文 (pdf 151KB)



付録:海溝型地震の強震動評価のレシピ (pdf 57KB)