平成19年8月8日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2007年7月の地震活動の評価


1.主な地震活動

7月16日に新潟県上中越沖の深さ約10kmでマグニチュード(M)6.8の地震が発生した。この地震により新潟県と長野県で最大震度6強を観測し、死者11名と負傷者約2,000名などの被害を生じた。 補足説明へ

*:この地震に対し、気象庁は「平成19年(2007年)新潟県中越沖地震」と命名した。

2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

○ 7月1日に根室支庁北部の深さ約130kmでM5.8の地震が発生した。発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。 補足説明へ

(2)東北地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3)関東・中部地方

○ 7月3日に茨城・千葉県境付近〔茨城県南部〕の深さ約50kmでM4.5の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。

○ 3月25日に発生した平成19年(2007年)能登半島地震の震源域付近での海底音波探査によると、以前から確認されていた海底断層が長さ18km以上に及ぶ海底活断層と確認された。また、今回の地震により、この海底活断層の一部でわずかな変動が現れたことから、今回の地震はこの海底活断層が活動したものと判断される。

○ (平成19年(2007年)新潟県中越沖地震およびその余震活動については別項を参照)

○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。 補足説明へ

(4)近畿・中国・四国地方

○ 7月16日に奈良県の深さ約50kmでM4.7の地震が発生した。発震機構は北東―南西方向に張力軸を持つ横ずれ断層型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。

○ 7月16日に京都府沖の深さ約370kmでM6.7の深発地震が発生した。発震機構はプレートの沈み込みの方向に圧力軸を持つ型であり、太平洋プレート内部で発生した地震である。 補足説明へ

(5)九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

補足

○ 8月1日に沖縄本島北西沖でM6.1の地震が発生した。発震機構は北西―南東方向に張力軸を持つ横ずれ断層型であった。また、ほぼ同じ場所で7日にM6.3の地震が発生した。

○ 8月2日にサハリン近海〔サハリン南部付近〕でM6.4の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。この地震により、北海道日本海沿岸で弱い津波を観測した。この地域では1971年9月6日にもM6.9の地震が発生しており、津波を観測している。

注:〔 〕内は気象庁が情報発表に用いた震央地域名である。


2007年7月の地震活動の評価についての補足説明

平成19年8月8日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2007年7月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ93回(6月は81回)および17回(6月は11回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は3回で、2007年は7月までに14回発生している。

(参考)M4.0以上の月回数73回(1996−2005年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1976−2005年の30年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1926−2005年の80年間の平均値)

2006年7月以降2007年6月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 千島列島東方 2006年11月15日M7.9
− 千島列島東方 2007年1月13日M8.2
− 能登半島地震 2007年3月25日M6.9(深さ約10km)
− 三重県中部 2007年4月15日M5.4(深さ約15km)
− 宮古島北西沖 2007年4月20日M6.3,M6.7,M6.1などの地震活動

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2 各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3)関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
(なお、これは、7月30日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

 (参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成19年7月30日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
 全般的には顕著な地震活動はありません。静岡県中部ではプレート内で通常より活動レベルが低く、地殻内ではやや高い状態になっていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
 東海地域及びその周辺の地殻変動には注目すべき特別な変化は観測されていません。」

−神奈川県西部で7月12日にM4.2(深さ約20km)と24日にM4.4(深さ約15km)の地震が発生した。

−7月20日に伊豆大島近海でM4.4の地震が発生した。地震活動は当初活発であったが、現在は次第に収まってきている。伊豆大島近海においては最近では2002年6月頃、2004年2月および7月、2006年6月にも同様な活動があり、2007年5月頃から地震活動がやや活発化している。

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(4)近畿・中国・四国地方

「7月16日に京都府沖の深さ約370kmでM6.7の深発地震が発生した。発震機構はプレートの沈み込みの方向に圧力軸を持つ型であり、太平洋プレート内部で発生した地震である。」
 東から西へ沈み込む太平洋プレートは地震波をよく伝えるため、震央付近に比べ、北海道から関東地方にかけての太平洋側で揺れが大きくなった(異常震域)。

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(5)九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。

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(6)その他の地域

−7月9日に千島列島東方でM6.2の地震が発生した。この地震は、昨年11月15日および今年1月13日に千島列島東方で発生したM7.9とM8.2の地震の余震域内で発生した。


参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 @M6.0以上または最大震度が4以上のもの。A内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。B海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。