平成19年8月8日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |
○ 7月16日10時13分頃に新潟県上中越沖の深さ約10kmでマグニチュード(M)6.8の地震が発生し、新潟県と長野県で最大震度6強を観測した。本震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった(7月17日公表の第171回地震調査委員会評価文「平成19年(2007年)新潟県中越沖地震の評価」参照)。
○ 地震活動は本震−余震型で、余震活動は減衰している。今回の余震活動は、最近の被害地震と比べると活発ではない。余震は北東―南西方向の長さ約30kmに分布しており、南東傾斜と北西傾斜の2つの面状に分布している。8月8日14時までの最大の余震は7月16日15時37分頃に発生したM5.8の地震で、南東傾斜の余震域の深い場所で発生した。
○ GPS観測の結果によると、本震の発生に伴って、柏崎市の沿岸部で最大北西方向へ約17cm移動した。現地調査や水準測量の結果から、柏崎市
○ この地震により、柏崎と小木で高さ0.3mなど、新潟県沿岸を中心に弱い津波を観測した。なお、柏崎(新潟県管轄)では高さ約1mの津波を観測した。
○ 前回の地震調査委員会(臨時会)では、今回の地震の震源断層は、主に余震分布から、南東傾斜であると評価した。それ以降の研究成果によると、北西傾斜の余震分布も指摘された。地殻変動データや本震の地震波形データおよび津波データの解析結果でも、本震の震源断層が南東傾斜、あるいは北西傾斜を決定することは、現時点では出来なかった。
○ 周辺の断層との関係については、今回の地震の震源断層が南東傾斜の場合は、新潟県中越沖にある海底断層と関係しており、また、北西傾斜の場合は、長岡平野西縁断層帯の深部延長上の断層と関係しているという考察もある。
平成19年8月8日
地震調査委員会
「前回の地震調査委員会(臨時会)では、今回の地震の震源断層は、主に余震分布から、南東傾斜であると評価した。それ以降の研究成果によると、北西傾斜の余震分布も指摘された。地殻変動データや本震の地震波形データおよび津波データの解析結果でも、本震の震源断層が南東傾斜、あるいは北西傾斜を決定することは、現時点では出来なかった。」
現時点の解析結果からでは、断層面の傾斜方向を結論付けることが出来ないため、今後の科学研究費補助金(特別研究促進費)や科学技術振興調整費による緊急調査研究の結果などを待って、更なる評価を行っていきたい。