平成19年4月11日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |
3月25日に能登半島西岸付近の深さ約10kmでマグニチュード(M)6.9の地震*が発生した。この地震により石川県で最大震度6強を観測し、死者1名と負傷者約300名などの被害を生じた。また、この地震に伴う余震活動により、25日にM5.3(最大震度5弱)、26日にM4.8(最大震度5弱)、28日にM4.9(最大震度5弱)の地震が発生した。 補足説明へ
*:今回の地震に対し、気象庁は「平成19年(2007年)能登半島地震」と命名した。
○ 3月30日に国後島付近の深さ約100kmでM5.6の地震が発生した。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ型であり、太平洋プレート内部の地震である。
○ 3月11日に北海道東方沖の深さ約15kmでM5.6の地震が発生した。発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であり、平成6年(1994年)北海道東方沖地震の余震域内で発生した。
○ 3月18日に十勝沖の深さ約60kmでM5.6の地震が発生した。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であり、太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。この地震は平成15年(2003年)十勝沖地震の余震域内で発生した。
○ 3月30日に十勝支庁南部の深さ約45kmでM4.7の地震が発生した。発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ型であり、太平洋プレートと陸のプレートの境界付近で発生した地震である。 補足説明へ
○ 3月31日に宮城県沖〔宮城県北部〕の深さ約75kmでM4.8の地震が発生した。発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ逆断層型であり、太平洋プレート内部の地震である。この地震は2003年5月26日に発生した宮城県沖の地震(M7.1)の余震域内で発生した。
○ 3月7日に秋田県内陸北部の深さ約15kmでM4.2の地震が発生した。 補足説明へ
○ 3月22日に埼玉・千葉県境付近〔埼玉県南部〕の深さ約80kmでM4.2の地震が発生した。
○ 3月10日に新潟県中越地方の深さ約10kmでM4.0の地震が発生した。この地震は平成16年(2004年)新潟県中越地震の余震域から南西に約20km離れた場所で発生した。
○ 3月8日に鳥島近海の深さ約150kmでM6.0の地震が発生した。発震機構は東北東―西南西方向に張力軸を持つ型であり、太平洋プレート内部で発生した地震である。
○ (平成19年(2007年)能登半島地震およびその余震活動については別項を参照)
○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。 補足説明へ
○ 目立った活動はなかった。 補足説明へ
○ 3月22日と23日に熊本県熊本地方の深さ約5kmでM4.0とM4.1の地震が発生した。 補足説明へ
○ 3月9日に日本海北部の深さ約500kmでM6.2の深発地震が発生した。発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型であり、太平洋プレートの内部で発生した地震である。
○ 4月5日に仙台湾〔宮城県沖〕の深さ約10kmでM4.5の地震が発生した。発震機構は東北東―西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型であり、地殻内で発生した地震である。
○ 4月10日に宮城県沖〔岩手県沿岸南部〕の深さ約75kmでM4.3の地震が発生した。
注:〔 〕内は気象庁が情報発表に用いた震央地域名である。
2007年3月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ125回(2月は67回)および16回(2月は10回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は3回(2月は1回)であった。なお、上記の月回数のうち、能登半島地震の余震活動によるものは、M4.0以上、M5.0以上のそれぞれについて、30回、3回であった。
(参考) | M4.0以上の月回数73回(1996−2005年の10年間の中央値)、 |
M5.0以上の月回数9回(1976−2005年の30年間の中央値)、 | |
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1926−2005年の80年間の平均値) |
2006年3月以降2007年2月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。
− 日向灘 | 2006年3月27日M5.5(深さ約35km) |
− 伊豆半島東方沖 | 2006年4月21日M5.8、4月30日M4.5などの地震活動 |
− 大分県中部 | 2006年6月12日M6.2(深さ約150km) |
− 千島列島東方 | 2006年11月15日M7.9 |
− 千島列島東方 | 2007年1月13日M8.2 |
−3月末頃から択捉島南東沖でM5.5(4月2日)を最大とする、小規模な地震活動が発生している。
東北地方では特に補足する事項はない。
「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
(なお、これは、3月26日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成19年3月26日気象庁地震火山部)
「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖東方から静岡県中部の直下では通常より活動レベルの低い状態になっていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
東海地域及びその周辺の地殻変動には注目すべき特別な変化は観測されていません。」
近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。
「3月22日と23日に熊本県熊本地方の深さ約5kmでM4.0とM4.1の地震が発生した。」
これらの地震も含め、3日間程度、小規模ながらやや活発な地震活動があった。
参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。