平成16年10月13日 |
2004年9月の地震活動の評価
9月5日に紀伊半島南東沖(東海道沖)でマグニチュード(M)7.4の地震が発生した。この地震により、三重県、奈良県、和歌山県で最大震度5弱を観測し、伊豆諸島から四国にかけての太平洋沿岸で津波が観測された。また、この約5時間前にはM6.9の前震が発生し、奈良県、和歌山県で最大震度5弱を観測し、伊豆諸島から四国にかけての太平洋沿岸で津波が観測された。これらの地震は負傷者が出るなどの被害を伴った。これまでの最大の余震は8日に発生したM6.5の地震である。 補足説明へ
○ 9月10日に十勝支庁南部の深さ約50kmでM5.1の地震が発生した。発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型である。 補足説明へ
○ 9月24日に岩手県沿岸北部の深さ約90kmでM4.2の地震が発生した。
○ 9月1日に福島県沖の深さ約30kmでM5.6の地震が発生した。発震機構は、西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。 補足説明へ
○ 9月7日に新潟県中越地方でM4.3の地震が発生した。
○ (9月5日に発生した紀伊半島南東沖の地震およびその余震活動については別項を参照)
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○ 9月21日に広島県南東部の深さ約50kmでM4.2の地震が発生した。 補足説明へ
○ 9月1日に奄美大島近海でM5.2の地震が発生した。 補足説明へ
○ 10月1日に福島県浜通り地方の深さ約75kmでM4.2の地震が発生した。
○ 10月5日に福井県嶺北地方の深さ約10kmでM4.8の地震が発生した。発震機構は東西方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型であった。余震活動は、5日のうちにほぼ収まった。
○ 10月6日に茨城県南部の深さ約65kmでM5.7の地震が発生し、最大震度5弱を観測し、被害を伴った。発震機構は、東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。その後の余震活動は低調である。この付近は定常的な地震活動がみられるところで、ここ数十年ではM5以上の地震が平均して年1回程度発生しているが、M6.0を超える地震は発生していない。
○ 10月7日に鹿島灘の深さ約60kmでM4.4の地震が発生した。
○ 10月8日に十勝支庁南部の深さ約50kmでM5.1の地震が発生した。
平成16年10月13日 |
地震調査委員会 |
2004年9月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ159回(8月は90回)および24回(8月は8回)であった。また、M6.0以上の地震は4回で、2004年は9月までに8回発生している。なお、上記の月回数のうち、紀伊半島南東沖の地震活動によるものは、M4.0以上、M5.0以上、M6.0以上のそれぞれについて、80回、11回、および4回であった。
(参考)1971−2000年の30年間の標準的な回数:
M4.0以上の月回数46回、M5.0以上の月回数8回、M6.0以上の月回数1.3回、年回数約16回
2003年9月以降2004年8月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。
−十勝沖(平成15年(2003年)十勝沖地震) |
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2003年9月26日M8.0(深さ約40km) |
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−福島県沖 |
2003年10月31日M6.8(深さ約30km) | |
−房総半島南東沖(プレートの三重会合点付近) | ||
2004年5月30日M6.7 | ||
−岩手県沖 |
2004年8月10日M5.8(深さ約50km) |
−平成15年(2003年)十勝沖地震の余震活動は、引き続き減衰傾向である。GPS観測結果によると、本震発生後に観測された余効変動はわずかながら継続している。
東北地方では、特に補足する事項はない。
「9月7日に新潟県中越地方でM4.3の地震が発生した。」:
この付近では7日から8日にかけて地震活動が活発化し、7日のM4.3の地震で最大震度4を観測するなど、最大震度1以上の地震が7回観測された。10日以降は、ほぼ通常の活動レベルに戻っている。
関東・中部地方では他に次の活動があった。
−東海地域の沈み込むフィリピン海プレート内では、9月5日の紀伊半島南東沖の地震の直後に微小地震活動が一時的にやや活発化した。また、東海地域のGPS観測結果には、主として地震に伴うステップ状の変動が広範囲に観測された。
(なお、これは、9月28日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成16年9月28日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
東海道沖(紀伊半島南東沖)で9月5日にM7.4の地震が発生しました。この地震及びその約5時間前に発生した前震M6.9により、東海地域の歪計などに地震時に通常見られるステップ状の変化が現われました。一部の観測点ではその後に緩慢な変化が続きましたが、数日程度でおさまりました。この緩慢な変化は各観測点近傍の局所的変化と見られます。
東海地域では、9月5日の地震直後に微小地震活動が一時、若干活発化しました。一方、浜名湖直下では通常より活動レベルの低い状態が継続しています。
地震が想定震源域に及ぼした力は高々潮汐変化を引き起こす力と同程度の大きさであると見積もられます。このことと上記の観測事実から、紀伊半島沖・東海道沖(紀伊半島南東沖)の地震活動が東海地震の発生に及ぼす直接的な影響はなかったと考えられます。
なお、紀伊半島沖・東海道沖(紀伊半島南東沖)の地震に伴い東海地域でも地殻変動が広範囲に観測されましたが、主として、地震に伴うステップ状の変動に見えます。 」
近畿・中国・四国地方では、特に補足する事項はない。
九州・沖縄地方では、特に補足する事項はない。
補足
−10月1日から奄美大島西方沖(奄美大島近海)の浅いところで地震活動が始まった。10月12日現在、最大の地震は3日と6日に発生したM5.3で、発震機構は北北西−南南東方向に張力軸をもつ横ずれ断層型であった。7日以降、活動は徐々に収まりつつある。この付近では、1990年6月16日にM6.1の地震が発生している。
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