ある場所の気温やある銘柄の株価, あるいは電子部品が発生する電気的ノイズなどのように, 時間とともに変動する量がある。 これらを取り扱おうとする場合, それらの変動の物理学的あるいは 社会学的なメカニズムの解明が不十分で,将来を正確に予測できない段階においては, 統計的な処理が有効な場合がある。 この場合,結論は確率的な表現で述べることになる。 地震発生という現象についても同様なことが言える。 ここでは,既に発生した地震の時系列データを処理するに当たって, 確率過程(stochastic process)をとりあげる。 これにより,将来の地震発生時期を確率的な表現で述べることができるようになる。 前述の気温や株価の例は,注目している量が時間的にたえず変動するものであったが, ある地域に起こった一定の大きさ以上の地震の時間的分布を議論するときには, 各地震を時間軸上の1点に落とし,いわゆる点過程(point process) として扱うことができる。
いま,地震が起きる時刻を で表す。
このとき,地震の発生間隔
が互いに独立で,同一の分布をするような確率過程を更新過程(renewal process)という。
更新過程のうち,特に発生間隔が同一の指数分布に従う場合をPoisson過程という。