表5 気象庁の対応の例

段階

把握できている現象

余震の評価作業

発表できる内容

発 表 情 報 文 の 例

発生直後

・本震の暫定的な震源位置
・震度分布

・本震−余震型の見極め 
・有感余震発生状況の把握
・過去の事例の調査

・震源、規模、震度分布の状況  

・過去の統計事例

〈発生直後〉 1月1日0時0分に○○県○○地方でM7.0の地震が発生しました。震源の深さは約10kmです。(地震の発生状況などに応じて情報が付け加えられます)この地震による余震が多数発生することが予想されます。 過去、日本の陸域で起きた地震の事例によれば、M6.0以上の地震72例中20例に大きな余震(本震と余震のMの差が1以内)を伴っており、この20例中17例が本震から3日以内に発生しています。(本震がM7.0の場合、3日以内に起きやすい「大きな余震」は、Mの差が1以内ですので、そのMは6.0以上になります)

数時間後

・本震の発震機構と詳細な震源位置
・有感となるような地震の発生状況、頻度分布、震源分布

・大まかな余震域の把握
・余震活動の把握(発生回数) 
・改良大森公式の適用の可能性確認 
・改良大森公式の暫定的適用
(平均的な活動の係数)

・地震の発生状況 
・ごく短期間(3日ぐらい)の余震確率評価

〈数時間後〉 1月1日0時0分に○○県○○地方でM7.0の地震が発生しました。震源の深さは約10kmです。(地震の発生状況などに応じて情報が付け加えられます) この地震のあと地震が多数発生しています。(これまでの地震の発生回数、発生地域、地震の発震機構などが必要に応じて発表されます) 過去、日本の陸域で起きた地震の事例によれば、M6.0以上の地震72例中20例に大きな余震(本震と余震のMの差が1以内)を伴っており、この20例中17例が本震から3日以内に発生しています。 

約1日後

余震の発生状況 有感地震とM3以上の地震のM別頻度分布、震源分布

・余震活動の把握
・改良大森公式の適用
(平均的な活動の係数と今回の活動の係数を比較し適用する係数の決定)

・余震の発生状況
・ごく短期間(3日ぐらい)の余震確率評価

〈約1日後〉 1月1日0時0分に○○県○○地方でM7.0の地震が発生しました。震源の深さは約10kmです。(余震の把握状況などに応じて情報が付け加えられます) この地震に伴う地震が多数発生していますが、時間とともに少なくなってきており、本震−余震型の傾向を示しています。(これまでの余震の発生回数、発生地域、地震の発震機構、この地域にかかる力などを必要に応じて発表します) 過去、日本の陸域で起きた地震の事例によれば、M6.0以上の地震72例中20例に大きな余震(本震と余震のMの差が1以内)を伴っており、この20例中17例が本震から3日以内、1番遅い例では本震後約1カ月で発生しています。 今後3日間(1月2日0時から1月4日24時まで)にM5.0以上の余震が発生する確率は60%で、M6.0以上の余震が発生する確率は10%です。

3日後以降

・余震の発生状況 微小な余震を含む頻度分布、震源分布

・余震活動の把握
・改良大森公式の適用
(今回の活動の係数)

・余震の活動状況
・比較的長い期間の余震確率評価 
・有感地震となるような余震の発生予測回数

〈3日後以降〉 1月1日0時0分に○○県○○地方でM7.0の地震が発生しました。震源の深さは約10kmです。(余震の把握状況などに応じて情報が付け加えられます) この地震は本震−余震型と考えられ余震活動は、現在までのところ順調に減衰しています。(これまでの余震の発生回数、発生地域、地震の発震機構、この地域にかかる力など地球物理学・地震学的な背景などを必要に応じて発表します) 今回の地震による余震活動は、過去に日本とその周辺で起きた地震の平均に比べると減衰の仕方がやや遅い(速い)と考えられます。 なお過去、日本の陸域で起きた地震の事例によれば、M6.0以上の地震72例中20例に大きな余震(本震と余震のMの差が1以内)を伴っており、この20例中17例が本震から3日以内、1番遅い例では本震後約1カ月で発生しています。 今後3日間(1月4日0時から1月6日24時まで)と1週間(1月4日0時から1月10日24時まで)にM5.0以上の余震が発生する確率は、それぞれ30%、50%で、M6.0以上の余震が発生する確率は 、ともに10%以下です。またM3.0以上 の余震発生回数は、本震発生から1週間後(1月8日ごろ)には1日当たり約7回、1カ月後(2月1日ごろ)には1日当たり1回程度になると見込まれます。

 *ここに示した内容は、実際の発表文の表現、内容と異なることがあります。