マグニチュードはアメリカのリヒターという地震学者が南カリフォルニアの地震の規模を表すために考え出しました。従ってリヒター・スケールといわれます。震央から100q離れたところに設置した特定の性能の地震計で観測した地震波の最大振幅を用いて計算するものです。特定の性能の地震計がちょうど100qのところに設置されているというわけにはいきませんので、その後、いろいろな地震計でいろいろな距離において記録されたものでも、地震の規模が求められるようにしています。
マグニチュードは震源域から放出された地震波の総エネルギーと密接な関係があります。Mが0.2大きくなるごとに地震エネルギーは約2倍に増えます。Mが0.4大きいと地震エネルギーは2×2で約4倍になります。Mが0.6大きいと地震エネルギーは2×2×2で約8倍といった具合に増え、Mが1.0大きいと地震エネルギーは約32倍となります。Mが2.0大きいと地震エネルギーは1,000倍になります。M8.0の地震のエネルギーはM6.0の地震の約1,000個分に相当します(図3)。
一般にM8程度以上の地震を巨大地震、M7以上の地震を大地震と呼ぶことがあります。
これまでに観測された地震の中で最も大きなものは1960年のチリ地震です。この地震はM8.5とされていましたが、断層の大きさが約800kmにも及び、例えばMが0.5〜0.6しか小さくない1923年の関東地震(M7.9)や1946年の南海地震(M8.0)の断層の長さ百数十kmと大きな違いがあります。このように非常に大きな地震について、地震波の最大振幅を用いる通常のマグニチュードでは十分にその地震の規模を正しく表現できないことから、断層の大きさや食い違いの量から地震に見合うモーメントマグニチュード(Mw)という尺度も使用されるようになっています。チリ地震はMwで9.5、関東地震はMwで7.9です。
1926年以降に日本付近でマグニチュード8を超える地震は、1933年の昭和三陸地震(M8.1)、1946年の南海道地震(M8.0)、1952年の十勝沖地震(M8.2)、1994年の北海道東方沖地震(M8.1)です。
また内陸で大きな被害を起こした1948年の福井地震はM7.1、1995年の兵庫県南部地震はM7.2です。
図3 マグニチュードと地震エネルギーの関係
(体積が地震エネルギーを表すようにした図です)