さて、地震調査研究推進本部では、余震による災害の拡大を防ぐために、地震調査委員会において、大地震の後に数多く起きる余震について検討を進め、余震の起き方を予測する方法を述べた報告書「余震の確率評価手法について」をとりまとめました。そして、1998年4月から、大地震の後にその予測手法を用いて余震の起き方を評価することにしました。現在の科学技術では、「どれぐらいの規模の地震」が、「いつ」、「どこ」に起きるのかを、地震の発生前に知ることはむずかしいのですが、大地震に続く余震について、どれぐらいの規模のものが起きるか、人が感じるくらいの大きさの余震は数にしてどのくらい起きるか、また、いつごろまで続くかについては、ある程度のことが言えるようになっています。それで気象庁においても、地震調査研究推進本部がまとめた方法を利用して、余震に関する情報を充実することにしています。
「余震とは何でしょうか」、「新しく提供される余震情報はどのように発表されるのでしょうか」、「余震の規模は予測できても、その余震による揺れの強さは予測できないのでしょうか」、こうした疑問に答えるために、この冊子では「これだけは知っておきたい地震の基礎知識」を紹介し、余震情報をどのように利用すればいいかなどについて、やさしく解説しました。地震の基礎知識を身につけ、大地震に見舞われたときには、余震の性質を知り、発表される余震情報を防災対策などに活用していただきたいと思います。
なお、この冊子の作成に当たっては、気象庁と国土地理院から多くの協力をいただきました。ここに厚くお礼を申し上げます。