資料 政16−(4)
成果を社会に活かす部会の検討状況について
「成果を社会に活かす部会の設置について」(平成11年8月27日、政策委員会)に基づき部会を設置し、平成11年11月24日に第1回部会を開催した。
第1回部会では、廣井部会長より、余震情報と活断層の長期評価に対する一般市民と行政の受け止め方についてのアンケート調査結果が報告され、これを参考に、今後の審議内容が議論された。
第1回部会での論点は次のとおり。
[第1回成果を社会に活かす部会論点メモ]
◎成果社会部会の設置について
- これまで、地震調査委員会は精力的に地震調査研究を行い、成果を出してきた。しかし、その成果が社会に十分活用されているとは言えず、多少問題が残っている。
- 本年4月に策定された総合基本施策「地震調査研究の推進について」の中でも、一般の人にわかりやすく、防災側にも使ってもらえるような地震調査研究が重要、と指摘されている。
- 委員の方々それぞれの立場から御意見をいただいて、地震調査研究の成果が社会に活かせるようにしていきたい。
◎余震情報と活断層の長期評価に対する、一般市民と行政の受け止め方について(アンケート調査結果の報告)
- 余震の確率について、行政側の6割は「この数字は高い」「低い」というような定性的な評価や、具体的な行動の指針を確率と一緒に発表することを要望していた。
- 一般市民の多くは定性的な評価を望んでおり、具体的な行動の指針を確率と一緒に発表することを8割が要望していた。
- 活断層の長期評価に関しては、行政側も一般市民も切迫性をもって受け止めていたが、実際には対策の取りようがないとも考えていた。
- 確率で情報を出されても対策の取りようがないという意見が多かった。対策のメニューをセットで出す必要がある。
- 「変位量」、「マグニチュード」、「ライフライン」、「ハザードマップ」といった言葉の意味を理解している人が少ない。できるだけ日常語に変換して市民に情報を伝えるという努力が必要。
◎今後の審議内容について
- 具体的には、地震調査委員会が行っている現状評価及び長期評価の実態について理解した上で、その広報の仕方について審議し、一般的な意見の集約を行っていく。
- まずは活断層の長期評価のあり方について検討する。2ヶ月に1回部会を開催する。
- 以前、広報小委員会で出された報告書「地震調査研究推進本部における広報の在り方について」において述べられた、「実施すべき広報」が現在どのようになっているか、次回部会では説明してほしい。
- アメリカやトルコでは、余震確率がどのように出されてどのような利用のされ方をしているのか、調査してほしい。
- 成果を提供する対象としては、行政と住民があり、審議におけるターゲットに応じて、一方をメイン、他方をサブとして、階層化して(対象を絞って)審議するとよい。
- 各界からヒアリングをするときには、民間企業という生産者が、どのような情報の受け止め方や行動をするのかも聴き取りたい。
- 地震調査委員会後の記者会見では、委員ではなく事務局が出ている。核心的なことが聞けないという意見があるが、記者会見の見直しは考えていないのか?
(事務局)地震調査委員会で評価した結果は、それ以上のものはないというもの。行政としてオーソライズする、ということで、行政として答えた方がよいということになっている。
- 地震調査委員会は評価するだけであって、広報することはしない、と思っている。
(事務局)評価の中身をどう出すか、というのは政策委員会が検討するが、中身の検討をするのは地震調査委員会。
- 成果社会部会は、評価の中身について議論するのではなく、一般論を議論すべきである。一般論を議論するというのは、「定性的表現を使った方がいい」とか「行動の指針もいっしょに出した方がいい」というのを議論することである。
- 情報は、不規則な流れ方にならないように、逐次発表するようにしなければならない。また、相手にわかるような情報にしないといけない。住民の方に近づくようなガイドラインがあれば、それをこの部会で示してほしい。
- 地震調査研究推進本部の評価は、慎重かつ重いものになっており、防災を担当する者は安心して聞いていられる。活用するには、情報の出し方について更なる検討が必要。
- ここまでしかわからない、ここまではわかる、ということを離れて、正確性は落ちるかもしれないが、「自分がマンションを買いたい」と思ったときに参考にできるような情報に置き換えて出していくというのがいい。
- 「社会に活かす部会」の「社会」の中でも、住民というターゲットが重要。
- 地震保険の加入状況と地震発生の関係は、地震が発生した地域周辺では多少変化があるものの、阪神・淡路大震災直後を除いては、全国的にはほとんど変化することがなかった。また、大地震が発生した場合、被害を受けなかった地域の地震保険料率は当然影響を受けないが、地震保険料率は、長期間の被害地震に基づく平均危険度により算出しているため、被災した地域についても長期間の危険度が平均化されるため、料率にあまり影響することがない。
- 活断層の情報を損害保険料率に反映させるのは、現段階では難しい。
(事務局)今後、「用語の理解」などについて、部会が必要と認めた場合は調査を行う。
- 部会の公開については、当面、傍聴者は入れず、名前を伏せた議事録を公開することにする。
成果を社会に活かす部会の設置について
平成11年8月27日
政策委員会
地震調査研究の成果が国民一般にとって分かり易く、防災意識の高揚や具体的な防災行動に結びつくものとするとともに、国や地方公共団体等の防災関係機関の具体的な防災対策に結びつくようにするための方策を検討する必要がある。これらを政策委員会と地震調査委員会が協力して行うため、政策委員会運営要領(平成7年8月9日政策委員会決定。以下「運営要領」という。)に基づき、成果を社会に活かす部会を設ける。
1.審議事項
(1)地震活動の総合的な評価に基づく広報に関すること
(2)地震調査研究の成果の効果的な普及方策に関すること
(3)その他必要な事項
2.部会の構成員等
(1)部会を構成する委員及び専門委員については、委員長が別途定める。この場合、構成員には、地震調査委員会の委員を含めるものとする。
(2)部会長は、部会の構成員の中から委員長が指名する。
(3)委員長は、構成員及び部会長の指名に当たっては、地震調査委員会の委員長の意見を聴くものとする。
(4)部会長は、部会に専門家を招聘し、意見を聴取することができる。
3.政策委員会と地震調査委員会との協力
政策委員会及び地震調査委員会における意見が部会の審議に反映されるよう、部会は、政策委員会及び地震調査委員会に適宜審議結果を報告するとともに、意見を聴くものとする。
(補足)
成果を社会に活かす部会(仮称)の名称の説明
本部会のねらいは、設置趣旨及び「地震調査研究の推進について−地震に関する観測、測量及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策−」(平成11年4月23日地震調査研究推進本部決定)にあるように、「地震調査研究の成果が国民一般にとってわかりやすく、防災意識の高揚や具体的な防災行動に結びつき、国や地方公共団体等の防災関係機関の具体的な防災対策に結びつく」ことである。また、同決定においては「地震防災対策に地震調査研究の成果を活用していくためには、人間の心理、行動や経済活動などに関する知見などの社会科学的な知見が重要である」とされている。
これらを踏まえ、本部会の目的をわかりやすく表す名称として、地震調査研究の成果を社会(国民、防災関係機関等社会への結びつき)に活かす方策の検討を行う部会との趣旨で、「成果を社会に活かす部会」としたものである。
なお、平成7年8月に効果的な広報のあり方について検討を行うため、「広報小委員会」を設置した経緯がある。
成果を社会に活かす部会構成員
(部会長)
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廣井 脩
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東京大学社会情報研究所長
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(委員)
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阿部勝征
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東京大学地震研究所教授
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伊藤和明
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日本放送協会解説委員
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岡山和生
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国土庁防災局震災対策課長
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小出 治
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東京大学大学院工学系研究科教授
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斉藤富雄
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兵庫県防災監
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佐野真理子
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主婦連合会事務局次長
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重川希志依
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(財)都市防災研究所研究部長
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下田隆二
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一橋大学イノベーション研究センター教授
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大門文男
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損害保険料率算定会地震保険部長
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鳥井弘之
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日本経済新聞論説委員
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中林一樹
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東京都立大学大学院都市科学研究科教授
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平澤朋郎
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東北大学大学院理学研究科教授
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松田時彦
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西南学院大学文学部教授
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