平成17年12月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会


宮城県沖地震を想定した強震動評価(一部修正版)について


地震調査研究推進本部は、「地震調査研究の推進について−地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策−」(平成11年)において、「全国を概観した地震動予測地図」の作成を当面推進すべき地震調査研究の主要な課題とし、このため、強震動予測手法の高度化を推進することを項目の一つとして挙げた。

これを受け、地震調査委員会は、「全国を概観した地震動予測地図」の作成を念頭におきつつ、強震動の評価手法として「詳細法」について検討するとともに、それを用いた強震動の評価を行うこととし、宮城県沖地震について、「宮城県沖地震を想定した強震動評価手法について(中間報告)」を平成14年10月15日に、「宮城県沖地震を想定した強震動評価について」を平成15年6月18日に、それぞれとりまとめ、公表した。 
その後、「宮城県沖地震を想定した強震動評価について」は、修正すべき点のあることが判明したことから、該当部分を修正する再評価を実施することとなった。このたび、その結果を一部修正版としてとりまとめたので、報告する。

本報告は、過去に公表した評価の内容を一部修正するものであり、平成15年6月18日の「宮城県沖地震を想定した強震動評価について」は、本報告によって差し替えられることとなる。
なお、今回行った再評価は、上記の修正すべき点を除き、震源モデルや地下構造及び計算手法等については、従来の評価を踏襲したものとなっている。浅層地盤の影響評価については、利用できるデータが限られているため簡便な手法を用いた。地震動の計算に用いる地下構造や微視的震源パラメータの精度良い推定には限界があることから、評価結果である地震動の数値は誤差を含んでいる。個別地域の防災対策の検討を行うにあたっては、この点に留意するとともに、地域の詳細な浅層地盤データに基づいてその影響を別途考慮する必要がある。

また、強震動の予測手法の標準化、高度化を目指し、評価に用いた予測手法を最新のレシピとして添付してきたが、本報告に添付されているのは、宮城県沖地震を想定した強震動評価で実際に採用した平成15年6月18日時点のレシピである。



1 断層破壊過程や地下構造の固有の性質を数多くのパラメータを用いて詳細にモデル化し、地震動の時刻歴波形を計算する地震動予測手法。説明文参照。
2 震源域として、ケースA1(1978年タイプ)、ケースA2(1936年タイプ)、ケースA1+A2+B(1793年)タイプの3ケースを想定している。このうち、ケースA1について修正すべき点のあることが判明した(「宮城県沖地震を想定した強震動評価(平成15年6月18日公表)の誤りと今後の対応について」、地震調査委員会、平成17年11月9日公表)。
3 強震動評価において、震源特性、地下構造モデル、強震動計算方法、予測結果の検証の手法や設定にあたっての考え方をまとめたものをここでは「レシピ」と呼ぶ。現時点における最新のレシピは、「日向灘の地震を想定した強震動評価」(地震調査委員会、平成17年9月26日公表)を参照。



評価文 (pdf 383KB)


説明文 (pdf 389KB)


付録: 海溝型地震の強震動評価のレシピ (pdf 294KB)