埼玉県の南部に位置する綾瀬川断層について、物理探査とボーリングによる調査が実施されました。
物理探査は、大宮市深作地区、大宮市膝子地区及び桶川市加納地区において、それぞれ4km、2km、2kmの測線を設定して、反射法弾性波探査により行いました。
写真−1 物理探査(反射法弾性波探査)の様子
ボーリング調査は、反射法弾性波探査を行った測線沿いに、300m1本、100m5本、70m3本を掘削し、コアから採取した試料中に含まれる火山灰の分析、珪藻・有孔虫・花粉の化石分析、放射性同位元素による年代測定、古地磁気測定を行い、地層の対比、堆積した環境と年代を検討しました。
写真−2 ボーリング調査の様子
これらの調査の結果、大宮地区の深度100m付近(約30万年前の年代と推定)より浅い地層では、断層運動に伴う明瞭な変位は認められませんでしたが、深度150m以深では、下部に向かってわずかに累積する変位が認められました。桶川地区においては、大宮地区よりも顕著な地層の傾斜が認められましたが、いずれも、1000年あたり10cm未満の変位であり、従来、活動度がB級の可能性があるとされてきた綾瀬川断層は、C級の活動度をもつ断層であると判断されました。