「日本の活断層」において、広島市内に存在するとされた五日市断層・己斐断層及び広島西縁断層の調査を平成7〜8年度で行いました。
1 己斐断層
西区己斐上五丁目地区において、長さ25m・深さ2m、長さ15m・深さ6mの2つのトレンチを掘り調査を行いました。調査の結果、基底の花崗岩及び直上の土石流堆積層に変位が確認され、年代測定の結果、千数百年前に活動したと推定されました。また、この断層は「日本の活断層」に示された位置からさらに比べ北へ延びていることが確認され、長さは9kmに達することが判りました。
写真−1 トレンチ全景
写真−2 トレンチ壁面
2 五日市断層
佐伯区五日市町上小深川地区において、長さ25m、深さ4mのトレンチを掘り調査を行いました。調査の結果、基底の花崗岩及び直上の堆積層を変位させており、年代測定の結果、千数百年前に活動したことが推定されました。「日本の活断層」では確実度Uで長さ20kmとされていた活断層のうち、写真判読の結果、中央部の少なくとも約5.5kmの区間は確実度Tの活断層であることが確認されました。
3 広島西縁断層
「日本の活断層」ではこの断層は、広島デルタの西縁に位置すると考えられてきましたが、三角州堆積物に厚く覆われていることから、活断層としての特徴は不鮮明でした。
調査の結果、広島西縁断層の延長部では断層の存在を示す証拠は認められず、この断層が活断層である可能性は低いと判断されました。
トレンチ調査――――― 活断層のトレンチ調査は、断層の通過している場所に調査溝(トレンチ)を掘り、その断面や平面の観察によって、過去に起こった断層運動を解読していく方法です。地層の中の土器などの遺跡や植物の化石から年代に関する情報を入手し、断層運動の発生時期や活動の間隔を把握していきます。