地震調査研究推進本部が公表している活断層や海溝型地震の長期評価をご覧いただくと、今後30年以内の地震の発生確率や、地震の規模(マグニチュード)などの情報がありますが、その中に、「地震後経過率」というものがあります。今回は、この「地震後経過率」について簡単に説明します。
「地震後経過率」は、ある特定の海溝型地震や活断層で発生する地震に着目した場合、地震が前回発生した時点から、次に発生する時点までの間で、今の時点がどの程度経過しているかという割合を示しています。具体的には、最新活動(地震発生)時期から評価時点までの経過時間を、平均活動間隔で割って求めます。最新の地震発生時期から評価時点までの経過時間が、平均活動間隔に達すると地震後経過率は1.0となります。つまり、平均100年間隔で発生している地震があったとして、前回の地震の発生から60年経過しているとすると、60÷100=0.6になります。また、前回の地震の発生から120年経過しているとすれば、120÷100=1.2になります。
活断層の長期評価では、例えば今月号にも出てきた森本・富樫断層帯の今後30年以内に地震が発生する確率値は、2〜8%となっており、一見すると確率が低そうに見えますが、地震後経過率で見ると「0.7−1.2」となっています。過去の地震の発生時期や活動間隔には不確かさを含んでいるため、幅のある値となっていますが、地震後経過率1.2という数字で見てみると、これは前回地震が発生してから、平均活動間隔の年数はすでに経過している状態であるということになります。このように、長期評価は、確率値だけでなく、地震後経過率など様々な情報と併せて理解することが非常に重要です。