1983 年日本海中部地震の震源断層と地殻構造のイメージ図
平成25年度の調査観測測線
本プロジェクトでは、構造調査を基軸として構築された断層モデルに基づいて、津波および強震動予測が行われ、これらの成果が工学や災害情報学的研究成果を取り込みながら、全体として地域の防災リテラシー向上に活用されていくことを目指します。
地球科学・工学・社会科学の各サブプロジェクトの成果を有機的に結びつけて、未解決の問題点を明確にしながら、地域に還元していくことを目的として、理学的な成果を災害情報学、海岸工学的な研究を通じて、実際の地域防災リテラシー向上につなげるための研究を行います。
日本海とその沿岸における津波や強震動を発生させる波源及び震源断層について、直接的なデータに基づき断層モデルを構築することを目的として、過去の地震・津波の調査や海域及び海陸統合の地下構造調査を広汎な領域で行います。また、海溝型地震と内陸沿岸地震の関連メカニズムの評価は、長期予測において重要な課題であり、この準備として広域の構造モデルに、断層の形状を取り入れた検討を行います。
陸域・海域での構造調査や古地震・古津波・活構造調査などに基づいて得られた断層モデルから、日本海沿岸における津波シミュレーションにより、沿岸での津波波高を予測します。また、構築された震源断層モデルに基づいて、強震動予測のための震源断層モデルに必要なパラメータを検討し、震源モデルの特性化や対象地域の地下速度構造モデルの高度化を進めます。これらの情報を組み合わせて、断層帯が活動した場合の強震動予測を行い、地震動分布の特徴を調べます。
数字は実施の順番
沿岸の湖底にみられる約5500年前の津波堆積物
(新潟県佐渡・加茂湖のボーリング試料)
本プロジェクトには、以下の機関が参加しています。
東京大学地震研究所,海洋開発研究機構,京都大学防災研究所、東京大学大学院工学系研究科、東京大学大学院情報学環附属総合防災情報研究センター、新潟大学災害・復興科学研究所、横浜国立大学大学院環境情報研究院 、防災科学技術研究所。
篠原 雅尚(しのはら・まさなお)
東京大学地震研究所 教授。
1986年九州大学理学部卒業、1991年千葉大学自然科学研究科修了。学術博士。東京大学海洋研究所助手などを経て、2010年より現職。専門は、海底観測地震学、海底観測機器開発。