波の特性を表す時に、波形(時刻暦)とともに、その波の周期別の振幅の大きさを表す「スペクトル」が用いられます。地震動においても、地面の動きをスペクトルで表す場合がありますが、地震動による外力を表現するために「応答スペクトル」を用います。
ある程度の大きさを持つ物体には、ある周期で揺らすと特に大きな揺れになる周期を持っています。これを固有周期とよびます。音叉の振動や振り子の揺れの周期も固有周期によるもので、共振(共鳴)現象は、この固有周期の波によってもたらされます。
建物や橋・道路などの構造物にも固有周期があり、地震動により揺れる場合にも、地震動の周期と固有周期の関係で、その影響は大きく変わってきます。
応答スペクトルは、いろいろな固有周期(建築物や構造物が揺れやすい周期)を持つさまざまな建築物や構造物に対して、地震動がどの程度の揺れの強さ(応答)を生じさせるかをわかりやすく示したものです。
建築物や構造物の揺れは、その固有周期や減衰定数(揺れが時間とともに弱まっていく程度を示す定数のことで、減衰比ともいいます。)と同じ固有周期や減衰定数をもつ振り子の揺れとして計算され、その最大値が採用されます。また、揺れの強さは振り子の振れ幅(変位)だけでなく、その単位時間における変化(=速度)やその変化率(=加速度)でも表現されます。速度応答スペクトルとは、地盤に対する相対的な応答速度の最大値のことです。