平成8年10月18日 |
地震調査研究推進本部 |
地震調査委員会 |
10月15日21時過ぎから伊豆半島東方沖で群発地震活動が始まり、活動の 消長を繰り返しながら現在も続いている。
震源域は、昨年9〜10月の活動域の北西に隣接し、汐吹崎の北沖合い2km を中心とする東西4km程度、深さ4〜8km程度である。活動開始以降震源域 の位置に大きな変化は見られないが、この震源域から外れた内陸部にもいくつか 浅い地震活動が見られる。地震回数は、18日15時までに4 680回、内有 感地震は36回であり、現在までの最大は、16日22時58分のM4.1であ る。
この群発地震活動に伴い周辺の体積歪計、傾斜計、GPS、地下水の観測値に 変動が記録されている。これらは上記震源域で地殻が膨張していると考えると、 おおよそ説明できる。今回の活動は、昨年9〜10月の活動の初期3日間と比べ て地震発生回数はやや多いが、小規模なものが大部分である。体積歪計による変 化率はやや大きい。
この付近では1978年から繰り返し群発地震活動があり、それに伴う地殻変 動も観測されている。これらの活動は地下浅部でのマグマの活動に関わっている と考えられる。
海底噴火のあった1989年以降を見ると、この付近の群発地震の活発な期間 は、短いもので数日、長いものでも10数日程度であり、活動中・後期にM5前 後の比較的大きい地震が発生した例がある。昨年9〜10月の活動では活発な期 間はおおよそ10日間、最大M4.8であった。この3日間の活動状況から判断 すると、今回の活動は、昨年9〜10月の活動とほぼ同じ程度の活動となる可能 性が高いと考えられる。
付図