平成25年8月9日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |
目立った活動はなかった。
○ 7月16日に釧路沖〔根室半島南東沖〕の深さ約45kmでマグニチュード(M)5.1の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 7月10日に岩手県沿岸北部の深さ約80kmでM4.9の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレート内部(二重地震面の上面)で発生した地震である。
○ 7月16日に岩手県沖の深さ約70kmでM5.1の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部(二重地震面の下面)で発生した地震である。
○ 7月20日に福島県沖の深さ約45kmでM5.4の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 7月23日に福島県浜通りの深さ約10kmでM5.2の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に張力軸を持つ正断層型で、地殻内で発生した地震である。
○ 7月31日に宮城県沖の深さ約20kmでM5.0の地震が発生した。この地震の発震機構は北東−南西方向に張力軸を持つ正断層型で、陸のプレートの地殻内で発生した地震である。
○ 7月10日に相模湾の深さ約10kmでM3.9の地震が発生した。この地震の発震機構は北北西−南南東方向に圧力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。
○ 7月20日に茨城県沖の深さ約35kmでM5.4の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 7月21日に千葉県北東部の深さ約50kmでM4.5の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。
○ 東海地方のGNSS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていない。
目立った活動はなかった。
目立った活動はなかった。
○ 8月3日に遠州灘の深さ約35kmでM4.9の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に張力軸を持つ正断層型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。
○ 8月4日に宮城県沖の深さ約60kmでM6.0の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。この地震の震源付近では、2011年4月7日にM7.2の地震(最大震度6強)が発生している。
注: 〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。
GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。
平成25年8月9日 地震調査委員会 |
2013年7月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ96回(6月は79回)および15回(6月は15回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は0回(6月は1回)であった。
(参考) | M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、 |
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、 | |
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値) |
2012年7月以降2013年6月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。
− 長野県北部 | 2012年7月10日 M5.2(深さ約10km) |
− 十勝地方南部 | 2012年8月25日 M6.1(深さ約50km) |
− 宮城県沖 | 2012年8月30日 M5.6(深さ約60km) |
− 宮城県沖 | 2012年10月25日 M5.6(深さ約50km) |
− 三陸沖 | 2012年12月7日 M7.3 |
− 茨城県北部 | 2013年1月28日 M4.8(深さ約75km) |
− 茨城県北部 | 2013年1月31日 M4.7(深さ約10km) |
− 十勝地方南部 | 2013年2月2日 M6.5(深さ約100km) |
− 栃木県北部 | 2013年2月25日 M6.3(深さ約5km) |
− 淡路島付近 | 2013年4月13日 M6.3(深さ約15km) |
− 三宅島近海 | 2013年4月17日 M6.2(深さ約10km) |
− 宮城県沖 | 2013年4月17日 M5.9(深さ約60km) |
− 福島県沖 | 2013年5月18日 M6.0(深さ約45km) |
北海道地方では特に補足する事項はない。
−「7月23日に福島県浜通りの深さ約10kmでM5.2の地震が発生した。(以下、略)」:
福島県浜通りから茨城県北部にかけての地殻内では、東北地方太平洋沖地震の発生以降、地震活動が活発となっており、主に正断層型の地震が発生している。2011年4月11日にはM7.0、同年4月12日にはM6.4の地震が発生した。その後も、東北地方太平洋沖地震の発生前の活動と比べ、活発な状況が継続している。
− 東北地方太平洋沖地震の余震域で発生したM4.0以上の地震の発生数は、東北地方太平洋沖地震発生後の約1年間(2011年3月11日〜2012年2月)と比べ、その後の1年間(2012年3月〜2013年2月)では5分の1以下に減少した。その後も余震活動は徐々に低下してきているが、東北地方太平洋沖地震の発生前の平均的な地震活動状況と比べると、余震域におけるM4.0以上の地震の発生数は4倍以上であり、依然として余震活動は活発な状態にある。
GNSS連続観測結果によると、東北地方太平洋沖地震直後からの約1ヶ月間における地殻変動量は、最大で水平方向に30cm、上下方向に6cmの沈降と5cmの隆起であった。変動は徐々に小さくなり、最近1ヶ月間では水平方向に最大1cm程度、上下方向には1cm未満になっているが、引き続き東北地方から関東・中部地方の広い範囲で、余効変動と考えられる地殻変動が観測されている。
2004年12月に発生したスマトラ島北部西方沖の地震(モーメントマグニチュード(Mw)9.1)では、震源域およびその周辺で、長期にわたって大きな地震が発生している。東北地方太平洋沖地震においても、今後も余震域やその周辺で規模の大きな地震が発生する恐れがあり、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性があるので、引き続き注意が必要である。
−「東海地方のGNSS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていない。」:
(なお、これは、7月29日に開催された定例の地震防災対策強化地域判定会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成25年7月29日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていません。
1.地震活動の状況
静岡県中西部の地殻内では、全体的にみて、2005年中頃からやや活発な状態が続いていましたが、今年に入ってから平常レベルに向かいつつあります。
浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では、引き続き地震の発生頻度のやや少ない状態が続いています。
その他の領域では概ね平常レベルです。
2.地殻変動の状況
全般的に注目すべき特別な変化は観測されていません。
GNSS※観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向は継続しています。更に、傾斜計、ひずみ計等の観測結果を含めて総合的に判断すると、東海地震の想定震源域におけるフィリピン海プレートと陸のプレートとの固着状況の特段の変化を示すようなデータは、現在のところ得られていません。
なお、6月28日から7月3日にかけて、愛知県西部のプレート境界付近に生じた「短期的ゆっくりすべり」に起因するとみられる地殻変動が周辺のひずみ計で観測されました。また、ほぼ同時期に深部低周波微動も観測されました。
また、GNSS※観測の結果によると、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」による余効変動が、小さくなりつつありますが東海地域においてもみられています。
※GNSS(Global Navigation Satellite Systems)とはGPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称。」
近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。
九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。
−「8月4日に宮城県沖の深さ約60kmでM6.0の地震が発生した。(以下、略)」:
この地震は、2011年4月7日に発生した地震(東北地方太平洋沖地震の余震:M7.2、最大震度6強)の余震域内で発生した。この領域では活発な地震活動が継続しており、2012年以降は、8月30日にM5.6、11月24日にM5.2の地震が発生するなどしている。
参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
①M6.0以上または最大震度が4以上のもの。②内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。③海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。