平成24年6月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2012年5月の地震活動の評価

1.主な地震活動

○ 5月24日に青森県東方沖でマグニチュード(M)6.1の地震が発生した。この地震により青森県で最大震度5強を観測し、被害を生じた。

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2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

○ 5月4日に根室地方南部〔国後島付近〕の深さ約85kmでM4.5の地震が発生した。この地震の発震機構は南北方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

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(2)東北地方

○ 5月20日16時20分に三陸沖でM6.5の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。同日04時05分にM6.0の地震が発生し、19日から22日にかけてM5.0以上の地震が14回発生するなどのまとまった地震活動があった。この地震により、久慈港(岩手県)で11cm、石巻市鮎川(宮城県)で6cmの小さな津波を観測した。

○ 5月24日に青森県東方沖の深さ約60kmでM6.1の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

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(3)関東・中部地方

○ 5月18日に茨城県南部の深さ約50kmでM4.8の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

○ 5月27日に小笠原諸島西方沖〔父島近海〕の深さ約500kmでM6.3の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

○ 5月29日に千葉県北西部の深さ約65kmでM5.2の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界で発生した地震である。

○ 東海地方のGNSS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていない。

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(4)近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。

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(5)九州・沖縄地方

○ 5月21日に沖縄本島北西沖の深さ約90kmでM5.1の地震が発生した。この地震の発震機構は北北西−南南東方向に圧力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。

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補足

○ 6月1日に千葉県北西部〔茨城県南部〕の深さ約45kmでM5.1の地震が発生した。この地震の発震機構は北北西−南南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

○ 6月4日15時51分に宮崎県南部山沿いの深さ約10kmでM4.4の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に張力軸を持つ型で、地殻内で発生した地震である。また、同日14時09分にM3.8の地震が発生した。

○ 6月6日に千葉県東方沖でM6.3の地震が発生した。この地震の発震機構は南北方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型であった。


注: 〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。
 GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。


2012年5月の地震活動の評価についての補足説明

平成24年6月11日
地震調査委員会

1.主な地震活動について

2012年5月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
  M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ138回(4月は140回)および29回(4月は14回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は4回(4月は1回)で、2012年は5月までに13回発生している。

(参考) M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値)

2011年5月以降2012年4月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 福島県浜通り  2011年5月6日 M5.2(深さ約5km)
− 新潟県中越地方  2011年6月2日 M4.7(深さ約5km)
− 岩手県沖  2011年6月23日 M6.9(深さ約35km)
− 長野県中部  2011年6月30日 M5.4(深さ約5km)
− 和歌山県北部  2011年7月5日 M5.5(深さ約5km)
− 三陸沖  2011年7月10日 M7.3
− 茨城県南部  2011年7月15日 M5.4(深さ約65km)
− 駿河湾  2011年8月1日 M6.2(深さ約25km)
− 福島県沖  2011年8月19日 M6.5(深さ約50km)
− 日高地方中部  2011年9月7日 M5.1(深さ約10km)
− 茨城県北部  2011年9月21日 M5.2(深さ約10km)
− 福島県浜通り  2011年9月29日 M5.4(深さ約10km)
− 熊本県熊本地方  2011年10月5日 M4.5(深さ約10km)
− 茨城県北部  2011年11月20日 M5.3(深さ約10km)
− 広島県北部  2011年11月21日 M5.4(深さ約10km)
− 浦河沖  2011年11月24日 M6.2(深さ約45km)
− 福島県沖  2012年1月23日 M5.1(深さ約50km)
− 山梨県東部・富士五湖  2012年1月28日 M5.4(深さ約20km)
− 佐渡付近  2012年2月8日 M5.7(深さ約15km)
− 茨城県北部  2012年2月19日 M5.2(深さ約5km)
− 茨城県沖  2012年3月1日 M5.3(深さ約55km)
− 茨城県北部  2012年3月10日 M5.4(深さ約5km)
− 三陸沖  2012年3月14日 M6.9
− 千葉県東方沖  2012年3月14日 M6.1(深さ約15km)
− 岩手県沖  2012年3月27日 M6.6(深さ約20km)
− 福島県沖  2012年4月1日 M5.9(深さ約55km)
− 千葉県北東部  2012年4月29日 M5.8(深さ約50km)

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2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

−福島県会津から山形県置賜地方の県境付近において2011年3月中旬から見られているまとまった地震活動は、徐々に減衰しつつある。

−福島県浜通りから茨城県北部の領域にかけて、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の発生後から活発な地震活動が続いている。

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(3)東北地方太平洋沖地震に伴う地震活動及び地殻変動について

−平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の余震域では、活発な地震活動が見られる。今後も引き続き規模の大きな余震が発生する恐れがあり、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性がある。また、引き続き東北地方から関東・中部地方の広い範囲で、余効変動と考えられる東向きの地殻変動が観測されているが、徐々に小さくなってきている。

(4)関東・中部地方

「東海地方のGNSS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていない。」:
 (なお、これは、5月29日に開催された定例の地震防災対策強化地域判定会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成24年5月29日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測されていません。

1.地震活動の状況
 静岡県中西部の地殻内では、全体的にみて、2005年中頃からやや活発な状態が続いています。
 浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では、引き続き地震の発生頻度のやや少ない状態が続いています。
 その他の領域では概ね平常レベルです。
 なお、三重県のプレート境界付近で5月15日から深部低周波地震が観測され、その後、活動域は北東方向に移動し、愛知県のプレート境界付近で23日まで観測されました。このように、北東方向への移動をともなう類似の活動は、2006年1月や2009年5〜6月にも観測されています。

2.地殻変動の状況
 全般的に注目すべき特別な変化は観測されていません。
 GNSS観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向は継続しています。更に、傾斜計、ひずみ計等の観測結果を含めて総合的に判断すると、東海地震の想定震源域におけるフィリピン海プレートと陸のプレートとの固着状況の特段の変化を示すようなデータは、現在のところ得られていません。
 なお、上記の深部低周波地震活動と同期して、三重県と愛知県のプレート境界付近に生じた「短期的ゆっくりすべり」に起因するとみられる地殻変動が、5月15日から23日にかけて、周辺のひずみ計で観測されました。
 また、GNSS観測の結果によると、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」による余効変動が、小さくなりつつありますが東海地域においてもみられています。
 ※GNSS(Global Navigation Satellite Systems)とはGPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称。」

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(5)近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(6)九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 @M6.0以上または最大震度が4以上のもの。A内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。B海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。