平成23年6月9日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2011年5月の地震活動の評価

1.主な地震活動

○ 5月6日に福島県浜通りでマグニチュード(M)5.2の地震が発生した。この地震により福島県で最大震度5弱を観測した。

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2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

○ 5月15日に根室半島南東沖の深さ約50kmでM5.0の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

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(2)東北地方

○ 5月4日に青森県三八上北地方の深さ約90kmでM4.6の地震が発生した。この地震は太平洋プレート内部で発生した地震である。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ型であった。

○ 5月5日に三陸沖でM6.1の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に張力軸を持つ正断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

○ 5月6日に福島県浜通りの深さ約5kmでM5.2の地震が発生した。この地震の発震機構は北北西−南南東方向に張力軸を持つ正断層型で、地殻内で発生した地震である。

○ 5月7日に福島県会津の深さ約10kmでM4.6の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震である。

○ 5月27日に秋田県内陸南部の深さ約5kmでM4.6の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に張力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。

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(3)関東・中部地方

○ 5月20日に茨城県南部の深さ約65kmでM4.6の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。また、今回の地震の震源付近では、25日にもM4.5の地震が発生した。

○ 5月22日に千葉県北東部の深さ約50kmでM5.5の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。

○ 東海地方のGPS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていない。

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(4)近畿・中国・四国地方

○ 5月10日に和歌山県北部の深さ約5kmでM4.2の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震である。

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(5)九州・沖縄地方

目立った活動はなかった。

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補足

○ 6月2日に新潟県中越地方の深さ約5kmでM4.7の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ型で、地殻内で発生した地震である。

○ 6月3日に福島県沖でM6.1の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に張力軸を持つ正断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

○ 6月3日に茨城県南部の深さ約60kmでM4.5の地震が発生した。

○ 6月4日に島根県東部の深さ約10kmでM5.2の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。



2011年5月の地震活動の評価についての補足説明

平成23年6月9日
地震調査委員会

1.主な地震活動について

2011年5月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
  M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ377回(4月は638回)および37回(4月は69回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は1回で、2011年は5月までに95回発生している。

(参考) M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値)

2010年5月以降2011年4月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 福島県沖  2010年6月13日 M6.2(深さ約40km)
− 千葉県北東部  2010年7月23日 M5.0(深さ約35km)
− 新潟県上越地方  2010年10月3日 M4.7(深さ約20km)
− 宮古島近海  2010年10月4日 M6.4
− 父島近海  2010年12月22日 M7.4
− 三陸沖  2011年3月9日 M7.3
− 東北地方太平洋沖地震  2011年3月11日 M9.0(深さ約25km)
− 静岡県伊豆地方  2011年3月11日 M4.6(深さ約5km)
− 長野県・新潟県県境付近  2011年3月12日 M6.7(深さ約10km)
− 静岡県東部  2011年3月15日 M6.4(深さ約15km)
− 茨城県北部  2011年3月19日 M6.1(深さ約5km)
− 福島県浜通り  2011年3月23日 M6.0(深さ約10km)
− 茨城県南部  2011年3月24日 M4.8(深さ約50km)
− 秋田県内陸北部  2011年4月1日 M5.0(深さ約10km)
− 茨城県南部  2011年4月2日 M5.0(深さ約55km)
− 宮城県沖  2011年4月7日 M7.1(深さ約65km)
− 福島県浜通り  2011年4月11日 M7.0(深さ約5km)
− 長野県北部  2011年4月12日 M5.6(深さごく浅い)
− 千葉県東方沖  2011年4月12日 M6.4(深さ約25km)
− 茨城県南部  2011年4月16日 M5.9(深さ約80km)
− 長野県・新潟県県境付近  2011年4月17日 M4.9(深さ約10km)
− 秋田県内陸南部  2011年4月19日 M4.9(深さ約5km)
− 千葉県東方沖  2011年4月21日 M6.0(深さ約45km)

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2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

「5月6日に福島県浜通りの深さ約5kmでM5.2の地震が発生した。(以下、略)」:
 この地震の後、25日にM5.0の地震が発生して最大震度5弱を観測するなど、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の発生後から活発な地震活動が続いている。

「5月7日に福島県会津の深さ約10kmでM4.6の地震が発生した。(以下、略)」:
 この付近では3月中旬からまとまった地震活動が見られている。

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(3)東北地方太平洋沖地震に伴う地震活動及び地殻変動について

−3月11日に発生した平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の余震域では、活発な地震活動が見られる。今後も引き続き規模の大きな余震が発生する恐れがあり、強い揺れや高い津波に見舞われる可能性がある。また、引き続き東北地方から関東・中部地方の広い範囲で、余効変動と考えられる東向きの地殻変動が観測されている。

(4)関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果等には、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていない。」:
 (なお、これは、5月31日に開催された定例の地震防災対策強化地域判定会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成23年5月31日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

1.地震活動の状況
 静岡県中西部の地殻内では、全体的にみて、2005年中頃からやや活発な状態が続いています。
 浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では、引き続き地震の発生頻度のやや少ない状態が続いています。
 その他の領域では概ね平常レベルです。

2.地殻変動の状況
 全般的に注目すべき特別な変化は観測されていません。
 GPS観測の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向は継続しています。更に、傾斜計、ひずみ計等の観測結果を含めて総合的に判断すると、東海地震の想定震源域及びその周辺におけるフィリピン海プレートと陸のプレートとの固着状態の特段の変化を示すようなデータは、現在のところ得られていません。
 なお、GPS観測の結果によると、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」による余効変動が東海地域においてもみられています。」

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(5)東北地方から関東・中部地方にかけての内陸で発生する地震について

−平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震発生以降、東北地方から関東・中部地方の内陸においては、依然としてまとまった地震活動が見られている地域がある。

(6)近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(7)九州・沖縄地方

−熊本県熊本地方でM3.0以上の地震が4回発生した。この付近では4月中旬からまとまった地震活動が続いている。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 @M6.0以上または最大震度が4以上のもの。A内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。B海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。