平成22年3月11日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2010年2月の地震活動の評価

1.主な地震活動

○ 2月7日に石垣島近海でマグニチュード(M)6.5の地震が発生した。

○ 2月27日に沖縄本島近海でM6.9(速報値)の地震が発生し、沖縄県で最大震度5弱を観測した。また、沖縄県で小さな津波を観測した。

○ 2月27日にチリ中部沿岸でモーメントマグニチュード(Mw)8.8の地震が発生し、太平洋沿岸を中心に北海道から沖縄県までの広い範囲で津波を観測した。

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2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

目立った活動はなかった。

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(2)東北地方

目立った活動はなかった。

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(3)関東・中部地方

○ 2月7日に石川県能登地方の深さ約10kmでM4.0の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。

○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。

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(4)近畿・中国・四国地方

○ 2月21日に伊予灘の深さ約15kmでM4.5の地震が発生した。この地震の発震機構は東北東−西南西方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。

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(5)九州・沖縄地方

○ 2月7日に石垣島近海でM6.5の地震が発生した。この地震の発震機構は南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型であった。

○ 2月27日に沖縄本島近海でM6.9(速報値)の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に張力軸を持つ横ずれ断層型であった。この地震により、沖縄県南城市(なんじょうし)で0.1mなど、沖縄県で小さな津波を観測した。また、GPS観測結果によると、この地震に伴い、与那城(よなしろ)観測点が北西方向に約1cm移動するなど、沖縄本島を中心に地殻変動が観測されている。

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(6)その他の地域

○ 2月6日に千島列島でM6.1の地震が発生した。

○ 2月18日にウラジオストク付近の深さ約620kmでM6.8の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

○ 2月27日にチリ中部沿岸でMw8.8の地震が発生した。この地震により津波が発生し、岩手県久慈港と高知県須崎港で1.2mなど、太平洋沿岸を中心に北海道から沖縄県までの広い範囲で津波を観測した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、ナスカプレートと南米プレートの境界で発生した地震である。

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補足

○ 3月1日に秋田県内陸南部〔岩手県内陸南部〕の深さ約120kmでM4.9の地震が発生した。この地震の発震機構は東北東−西南西方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

○ 3月4日に台湾でM6.4の地震が発生した。

○ 3月6日に北海道東方沖でM5.5の地震が発生した。


注:〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。




2010年2月の地震活動の評価についての補足説明

平成22年3月11日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2010年2月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ90回(1月は80回)および16回(1月は15回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は4回で、2010年は2月までに4回発生している。

(参考)M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値)

2009年2月以降2010年1月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 駿河湾 2009年8月11日M6.5(深さ約25km)
− 八丈島東方沖 2009年8月13日M6.6
− 石垣島近海 2009年8月17日M6.7,M6.6
− 伊豆半島東方沖  2009年12月17日M5.0、18日M5.1などの地震活動

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2 各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3)関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
 (なお、これは、2月22日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成22年2月22日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

1.地震活動の状況
 静岡県中西部の地殻内では、全体的にみて、2005年中頃からやや活発な状態が続いています。
 浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では、引き続き地震の発生頻度のやや少ない状態が続いています。
 その他の領域では概ね平常レベルです。

2.地殻変動の状況
 全般的に注目すべき特別な変化は観測されていません。
 GPS観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向はこれまでと同様に継続しています。」

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(4)近畿・中国・四国地方

−GPS観測結果によると、豊後水道周辺で非定常的な地殻変動が検出された。この変化は、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界におけるゆっくりとした滑り(スロースリップ)に起因するものと考えられる。変化は2009年秋頃から始まり、2月上旬までに土佐清水3観測点では南東方向に1cm程度移動している。なお、この付近では、1996〜1997年、2003〜2004年にも長期的なゆっくり滑りが観測されている。

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(5)九州・沖縄地方

「2月7日に石垣島近海でM6.5の地震が発生した。(以下、略)」:
 この地震に伴い、津波注意報が発表されたが、津波は観測されなかった。また、この付近では、2009年8月17日にM6.7とM6.6の地震が発生している。

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(6)その他の地域

「2月6日に千島列島でM6.1の地震が発生した。」
 この付近では、2006年11月15日にM7.9の地震が発生している。

「2月27日にチリ中部沿岸でMw8.8の地震が発生した。(以下、略)」
 この付近では、1960年にMw9.5の地震が発生し、地震に伴う津波により日本で死者・行方不明者142名等の被害が生じた(「チリ地震津波」)。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 @M6.0以上または最大震度が4以上のもの。A内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。B海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。