平成22年8月6日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |
○ 7月23日に千葉県北東部でマグニチュード(M)4.9の地震が発生し、茨城県で最大震度5弱を観測した。
目立った活動はなかった。
○ 7月4日に岩手県内陸南部の深さ約5kmでM5.2の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、地殻内で発生した地震である。
○ 7月5日に岩手県沖の深さ約35kmでM6.4の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 7月27日に宮城県沖〔岩手県沖〕の深さ約25kmでM5.3の地震が発生した。この地震の発震機構は東北東−西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。
○ 7月4日に茨城県南部の深さ約90kmでM4.5の地震が発生した。この地震は太平洋プレート内部で発生した地震である。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に張力軸を持つ型であった。
○ 7月23日に千葉県北東部の深さ約35kmでM4.9の地震が発生した。この地震の発震機構は北北西−南南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。
○ 7月21日に奈良県の深さ約60kmでM5.1の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ型で、フィリピン海プレート内部で発生した地震である。
目立った活動はなかった。
○ 8月3日に茨城県北部の深さ約80kmでM4.6の地震が発生した。
注:〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。
平成22年8月6日 地震調査委員会 |
2010年7月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ75回(6月は95回)および13回(6月は14回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は1回で、2010年は7月までに12回発生している。
(参考) | M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、 |
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、 | |
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値) |
2009年7月以降2010年6月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。
− 駿河湾 | 2009年8月11日M6.5(深さ約25km) |
− 八丈島東方沖 | 2009年8月13日M6.6 |
− 石垣島近海 | 2009年8月17日M6.7,M6.6 |
− 伊豆半島東方沖 | 2009年12月17日M5.0、18日M5.1などの地震活動 |
− 石垣島近海 | 2010年2月7日M6.5 |
− 沖縄本島近海 | 2010年2月27日M7.2 |
− チリ中部沿岸 | 2010年2月27日Mw8.8 |
− 福島県沖 | 2010年3月14日M6.7 |
− 福島県沖 | 2010年6月13日M6.2 |
北海道地方では特に補足する事項はない。
「7月4日に岩手県内陸南部の深さ約5kmでM5.2の地震が発生した。(以下、略)」:
今回の地震は「平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震」(M7.2)の余震域内で発生した。また、同余震域内でM5.0以上の地震が発生したのは、2008年6月16日のM5.3の地震(最大震度4)以来である。
−岩手・秋田県境付近で、7月31日頃からM3.6を最大とする、やや活発な地震活動が見られている。
「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
(なお、これは、7月26日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成22年7月26日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
1.地震活動の状況
静岡県中西部の地殻内では、全体的にみて、2005年中頃からやや活発な状態が続いています。
浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では、引き続き地震の発生頻度のやや少ない状態が続いています。その他の領域では概ね平常レベルです。
2.地殻変動の状況
全般的に注目すべき特別な変化は観測されていません。
GPS観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向はこれまでと同様に継続しています。」
−5月29日頃から八丈島東方沖(海溝軸の東側)で発生していた、やや活発な地震活動は徐々に収まりつつある。
−7月23日に高知県西部の深さ約35kmでM4.4の地震が発生した。この地震の発震機構は南北方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型であった。
−豊後水道周辺で2009年秋頃から見られている非定常的な地殻変動は、引き続き観測されている。この変化は、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界におけるゆっくりとした滑り(スロースリップ)に起因するものと考えられる。
九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。
参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上または最大震度が4以上のもの。内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。