平成22年4月9日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |
○ 3月14日に福島県沖でマグニチュード(M)6.7の地震が発生した。この地震により、福島県で最大震度5弱を観測し、被害を伴った。
○ 3月6日に北海道東方沖でM5.5の地震が発生した。
○ 3月30日に北海道南西沖でM5.8の地震が発生した。発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。
○ 3月1日に秋田県内陸南部〔岩手県内陸南部〕の深さ約120kmでM4.9の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
○ 3月13日に福島県沖の深さ約80kmでM5.5の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に張力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
○ 3月14日に福島県沖の深さ約40kmでM6.7の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。GPS連続観測結果によると、この地震に伴い、宮城県と福島県の太平洋沿岸を中心にわずかな地殻変動が観測されている。
○ 3月16日に千葉県北西部の深さ約70kmでM4.5の地震が発生した。
○ 3月31日に茨城県沖の深さ約55kmでM4.6の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。
○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。
目立った活動はなかった。
目立った活動はなかった。
○ 3月4日に台湾でM6.4の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ型であった。
注:〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。
平成22年4月9日 地震調査委員会 |
2010年3月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ99回(2月は90回)および18回(2月は16回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は2回で、2010年は3月までに6回発生している。
(参考) | M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、 |
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、 | |
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値) |
2009年3月以降2010年2月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。
− 駿河湾 | 2009年8月11日M6.5(深さ約25km) |
− 八丈島東方沖 | 2009年8月13日M6.6 |
− 石垣島近海 | 2009年8月17日M6.7,M6.6 |
− 伊豆半島東方沖 | 2009年12月17日M5.0、18日M5.1などの地震活動 |
− 石垣島近海 | 2010年2月7日M6.5 |
− 沖縄本島近海 | 2010年2月27日M7.2 |
− チリ中部沿岸 | 2010年2月27日Mw8.8 |
北海道地方では特に補足する事項はない。
東北地方では特に補足する事項はない。
「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
(なお、これは、3月29日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成22年3月29日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
1.地震活動の状況
静岡県中西部の地殻内では、全体的にみて、2005年中頃からやや活発な状態が続いています。
浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では、引き続き地震の発生頻度のやや少ない状態が続いています。
その他の領域では概ね平常レベルです。
なお、3月10日頃から18日にかけて、愛知県西部のプレート境界付近で深部低周波地震が観測されました。この付近では、昨年9月末から10月上旬にかけて深部低周波地震が観測されています。
2.地殻変動の状況
全般的に注目すべき特別な変化は観測されていません。
GPS観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向はこれまでと同様に継続しています。
なお、上記、深部低周波地震活動と同期して、プレート境界付近における「短期的ゆっくり滑り」に起因するとみられる地殻変動が、3月10日から11日と、3月16日から18日にかけて、周辺の歪計で観測されました。「短期的ゆっくり滑り」に起因する地殻変動が観測されたのは、昨年10月上旬以来です。」
−豊後水道周辺で2009年秋頃から見られている非定常的な地殻変動は、引き続き観測されている。この変化は、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界におけるゆっくりとした滑り(スロースリップ)に起因するものと考えられる。また、ほぼ同じ領域で、2010年2月頃から深部低周波微動活動が活発となっている。この付近では2003〜2004年にも長期的なゆっくり滑りが観測されており、その時も今回と同様に活発な深部低周波微動活動が見られた。
九州・沖縄地方では特に補足する事項はない。
その他の地域では特に補足する事項はない。
2010年2月27日に発生した沖縄本島近海の地震のマグニチュードは、「2010年2月の地震活動の評価」では6.9(速報値)としていたが、精査の結果、7.2とする。
参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上または最大震度が4以上のもの。内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。