平成21年11月10日 地震調査研究推進本部 地震調査委員会 |
目立った活動はなかった。
○ 10月10日に浦河沖の深さ約90kmでマグニチュード(M)5.1の地震が発生した。この地震の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
○ 10月11日に根室半島南東沖でM5.4の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震と考えられる。
○ 10月12日に福島県会津の深さ約5kmでM4.9の地震が発生した。この地震の発震機構は北北東−南南西方向に張力軸を持つ正断層型で、地殻内で発生した地震である。
○ 長野県南部の深さ約10kmの地殻内において、10月6日頃からM3.9を最大とする地震活動があった。求まった発震機構は東西方向ないし西北西−東南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型であった。
○ 10月23日に茨城県沖の深さ約45kmでM5.0の地震が発生した。
○ 10月23日に新潟県中越地方の深さ約10kmでM3.3の地震が発生した。この地震の発震機構は北北西−南南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型で、地殻内で発生した地震である。
○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。
目立った活動はなかった。
○ 10月30日に奄美大島北東沖でM6.8の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震と考えられる。また、GPS観測結果によると、この地震に伴い薩南諸島で小さな地殻変動が観測された。
○ 10月4日に台湾付近でM6.3の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。
○ 11月4日に小笠原諸島西方沖〔父島近海〕でM5.6の地震が発生した。
注:〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。
平成21年11月10日 地震調査委員会 |
2009年10月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ73回(9月は78回)および12回(9月は8回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は2回で、2009年は10月までに15回発生している。
(参考) | M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、 |
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、 | |
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値) |
2008年10月以降2009年9月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。
− 駿河湾 | 2009年8月11日M6.5(深さ約25km) |
− 八丈島東方沖 | 2009年8月13日M6.6 |
− 石垣島近海 | 2009年8月17日M6.7,M6.6 |
北海道地方では特に補足する事項はない。
東北地方では特に補足する事項はない。
「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
(なお、これは、10月26日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)
(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成21年10月26日気象庁地震火山部)
「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
1.地震活動の状況
駿河湾で8月11日に発生したマグニチュード(M)6.5の地震にともなう余震は減少しています。
静岡県中西部の地殻内では、全体的にみて、2005年中頃からやや活発な状態が続いています。
浜名湖周辺のフィリピン海プレート内では、引き続き地震の発生頻度の少ない状態が続いています。
その他の領域では概ね平常レベルです。
なお、愛知県のプレート境界付近で、9月30日から10月7日にかけて、深部低周波地震が観測されました。この付近では、本年2月、5月中旬〜6月はじめ、及び8月末から9月はじめにかけて、まとまった活動の深部低周波地震が観測されています。
2.地殻変動の状況
全般的に注目すべき特別な変化は観測されていません。
GPS観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向はこれまでと同様に継続しています。
なお、上記、深部低周波地震活動と同期して、プレート境界付近における「短期的ゆっくり滑り」に起因すると見られる地殻変動が9月30日から10月3日にかけて、周辺の歪計で観測されました。「短期的ゆっくり滑り」に起因する地殻変動は、本年2月、5月下旬〜6月はじめ、及び8月末から9月はじめに観測されています。」
近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。
近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。
参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
M6.0以上または最大震度が4以上のもの。内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。
参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。