平成21年7月9日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2009年6月の地震活動の評価

1.主な地震活動

目立った活動はなかった。 補足説明へ

2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

○ 6月5日に十勝沖の深さ約30kmでマグニチュード(M)6.4の地震が発生した。この地震の発震機構は北西−南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。この地震に伴い、北海道日高地方の南部を中心とする地域で小さな地殻変動が観測された。 補足説明へ

(2)東北地方

○ 6月23日に宮城県沖の深さ約40kmでM5.6の地震が発生した。この地震は太平洋プレート内部で発生した地震と考えられる。この地震の発震機構は北北西−南南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。 補足説明へ

(3)関東・中部地方

○ 6月6日に千葉県東方沖でM5.9の地震が発生した。この地震の発震機構は北北東−南南西方向に張力軸を持つ正断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震と考えられる。

○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。 補足説明へ

(4)近畿・中国・四国地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5)九州・沖縄地方

○ 6月25日に大分県西部の深さ約10kmでM4.7の地震が発生した。この地震の発震機構は南北方向に張力軸を持つ正断層型で、地殻内で発生した地震である。 補足説明へ




2009年6月の地震活動の評価についての補足説明

平成21年7月9日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2009年6月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ90回(5月は53回)および15回(5月は5回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は1回で、2009年は6月までに4回発生している。

(参考)M4.0以上の月回数73回(1998−2007年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1973−2007年の35年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1924−2007年の84年間の平均値)

2008年6月以降2009年5月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 岩手・宮城内陸地震 2008年6月14日M7.2(深さ約10km)
− 茨城県沖 2008年7月5日M5.2(深さ約50km)
− 沖永良部島付近 2008年7月8日M6.1(深さ約45km)
− 福島県沖 2008年7月19日M6.9
− 岩手県中部 2008年7月24日M6.8(深さ約110km)
− 十勝沖 2008年9月11日M7.1

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2 各地方別の地震活動

(1)北海道地方

「6月5日に十勝沖の深さ約30kmでマグニチュード(M)6.4の地震が発生した。(以下、略)」
 この地震は、「平成15年(2003年)十勝沖地震」(M8.0)の余震域内で発生した。また、この付近では同地震の最大余震(2003年9月26日、M7.1、最大震度6弱)が発生している。

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(2)東北地方

−三陸沖で20日にM5.4、23日にM5.2の地震が発生した。これらの地震の発震機構はともに西北西−東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。

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(3)関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
 (なお、これは、6月29日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

(参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成21年6月29日気象庁地震火山部)

「現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。

1.地震活動の状況
 全般的には顕著な地震活動はありません。
 静岡県中西部のフィリピン海プレート内ではマグニチュード3.5以上の地震の発生頻度が引き続き少ない状態が続いています。また、浜名湖周辺のフィリピン海プレート内でも地震の発生頻度が引き続き少ない状態になっています。一方、静岡県中西部の地殻内では地震活動がやや活発な状態が続いています。その他の地域では概ね平常レベルです。
 なお、5月4日から、奈良県で深部低周波地震が発生し、その後、活動域は北東方向へ移動し、愛知県から長野県南部にかけて発生し、6月4日まで継続しました。このような、奈良県から愛知県へ北東方向の移動をともなう類似の活動は、2006年1月にも発生しています。

2.地殻変動の状況
 全般的には注目すべき特別な変化は観測されていません。
 GPS観測及び水準測量の結果では、御前崎の長期的な沈降傾向はこれまでと同様に継続しています。
 なお、上記、深部低周波地震活動と同期して、プレート境界付近における「短期的ゆっくり滑り」に起因すると見られる地殻変動が5月18日頃から22日頃と5月26日頃から6月2日頃にかけて、周辺の歪計等で観測されました。「短期的ゆっくり滑り」に起因する地殻変動が観測されたのは、本年2月中旬以来です。」

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(4)近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(5)九州・沖縄地方

「6月25日に大分県西部の深さ約10kmでM4.7の地震が発生した。(以下、略)」
 この付近では、6月8日頃から微小な地震活動が見られ、今回の地震発生後、地震活動がやや活発になったが、徐々に落ち着きつつある。

−大村湾〔長崎県北部〕の深さ約10kmで6月28日にM4.0、30日にM3.9の地震が発生するなど、一時的に地震活動がやや活発になったが、徐々に落ち着きつつある。

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注:〔 〕内は気象庁が情報発表で用いた震央地域名である。

参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 @M6.0以上または最大震度が4以上のもの。A内陸M4.5以上かつ最大震度が3以上のもの。B海域M5.0以上かつ最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1 「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2 「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3 評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。