平成19年2月14日
地震調査研究推進本部
地震調査委員会

2007年1月の地震活動の評価


1.主な地震活動

1月13日に千島列島東方でマグニチュード(M)8.2の地震が発生し、オホーツク海沿岸から太平洋沿岸全域にかけて津波を観測した。 補足説明へ

2.各地方別の地震活動

(1)北海道地方

○ 1月9日に網走沖の深さ約10kmでM4.7の地震が発生した。発震機構は北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。 補足説明へ

(2)東北地方

目立った活動はなかった。 補足説明へ

(3)関東・中部地方

○ 1月4日に茨城県沖の深さ約55kmでM4.2の地震が発生した。

○ 1月9日に埼玉・千葉・茨城県境付近〔茨城県南部〕の深さ約80kmでM4.3の地震が発生した。

○ 1月16日に静岡県伊豆地方〔静岡県東部〕の深さ約180kmでM5.8の地震が発生した。発震機構はプレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。

○ 1月5日に岐阜県美濃東部の深さ約55kmでM4.0の地震が発生した。

○ 1月22日に福井・岐阜県境付近〔福井県嶺北〕の深さ約15kmでM4.5の地震が発生した。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型であった。

○ 1月8日に新潟県中越地方の深さ約15kmでM4.8の地震が発生した。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であり、平成16年(2004年)新潟県中越地震の余震域内で発生した。

○ 東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。 補足説明へ

(4)近畿・中国・四国地方

○ 目立った活動はなかった。 補足説明へ

(5)九州・沖縄地方

○ 目立った活動はなかった。 補足説明へ

(6)その他の地域

○ 1月13日13時23分に千島列島東方でM8.2の地震(国内最大震度3)が発生した。発震機構は北北西―南南東方向に張力軸を持つ正断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震と考えられる。GPS観測結果には、この地震の前後で、国内では特に変化は認められない。

○ 1月25日に台湾付近でM6.1の地震が発生した。発震機構は西北西―東南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型であった。 補足説明へ

補足

○ 2月4日に千葉県北西部の深さ約65kmでM4.3の地震が発生した。


注:〔 〕内は気象庁が情報発表に用いた震央地域名である。



○ 2007年1月の地震活動の評価についての補足説明

平成19年2月14日
地震調査委員会

1 主な地震活動について

2007年1月の日本およびその周辺域におけるマグニチュード(M)別の地震の発生状況は以下のとおり。
 M4.0以上およびM5.0以上の地震の発生は、それぞれ140回(12月は136回)および27回(12月は29回)であった。また、M6.0以上の地震の発生は4回(12月は3回)であった。なお、上記の月回数のうち、11月15日及び1月13日の千島列島東方の地震の余震活動によるものは、M4.0以上、M5.0以上、M6.0以上のそれぞれについて、71回、17回、1回であった(12月については、M4.0以上、M5.0以上、M6.0以上のそれぞれについて、53回、18回、1回であった)。

(参考)M4.0以上の月回数73回(1996−2005年の10年間の中央値)、
M5.0以上の月回数9回(1976−2005年の30年間の中央値)、
M6.0以上の月回数1.4回、年回数約17回(1926−2005年の80年間の平均値)

2006年1月以降2006年12月末までの間、主な地震活動として評価文に取り上げたものは次のものがあった。

− 日向灘 2006年3月27日M5.5(深さ約35km)
− 伊豆半島東方沖 2006年4月21日M5.8、4月30日M4.5などの地震活動
− 大分県中部 2006年6月12日M6.2(深さ約150km)
− 千島列島東方 2006年11月15日M7.9

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2 各地方別の地震活動

(1)北海道地方

北海道地方では特に補足する事項はない。

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(2)東北地方

東北地方では特に補足する事項はない。

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(3)関東・中部地方

「東海地方のGPS観測結果等には特段の変化は見られない。」:
 (なお、これは、1月29日に開催された地震防災対策強化地域判定会委員打合せ会における見解(参考参照)と同様である。)

 (参考)最近の東海地域とその周辺の地震・地殻活動(平成19年1月29日気象庁地震火山部)

「 現在のところ、東海地震に直ちに結びつくような変化は観測されていません。
全般的には顕著な地震活動はありません。浜名湖東方から静岡県中部の直下では通常より活動レベルの低い状態になっていますが、その他の地域では概ね平常レベルです。
 東海地域及びその周辺の地殻変動には注目すべき特別な変化は観測されていません。」

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(4)近畿・中国・四国地方

近畿・中国・四国地方では特に補足する事項はない。

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(5)九州・沖縄地方

−1月16日に奄美大島近海の深さ約35kmでM4.7の地震が発生した。

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(6)その他の地域

「1月13日13時23分に千島列島東方でM8.2の地震(国内最大震度3)が発生した。発震機構は北北西―南南東方向に張力軸を持つ正断層型で、太平洋プレート内部で発生した地震と考えられる。GPS観測結果には、この地震の前後で、国内では特に変化は認められない。」:
 この地震に伴い、オホーツク海と太平洋沿岸全域に津波が伝播し、国内で観測した最大の津波の高さは43cm(三宅島坪田における暫定値)であった(2006年11月15日の地震における最大の津波の高さは、三宅島坪田における84cm)。
 2006年11月15日に、今回の地震の西北西の位置でM7.9の地震が発生した後、地震活動はM7.9が発生した西側の領域と海溝軸直下の東側の領域に分かれて活発化した。それらの地震活動が収まってきた中で、今回の地震が発生した。西側の領域で発生した地震の発震機構はプレート境界で発生したことを示唆する逆断層型であり、東側の領域で発生した地震の発震機構は太平洋プレート内部で発生したことを示唆する正断層型であった。

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参考1 「地震活動の評価」において掲載する地震活動の目安
 M6.0以上のもの。または、M4.0以上(海域ではM5.0以上)の地震で、かつ、最大震度が3以上のもの。

参考2 「地震活動の評価についての補足説明」の記述の目安
 1「地震活動の評価」に記述された地震活動に係わる参考事項。
 2「主な地震活動」として記述された地震活動(一年程度以内)に関連する活動。
 3評価作業をしたものの、活動が顕著でなく、かつ、通常の活動の範囲内であることから、「地震活動の評価」に記述しなかった活動の状況。